豚コレラによる家畜等の輸入禁止措置を発生地域ベースに限定(EU)




新たにドイツやスペインなどで発生

 EU域内では、今年に入ってからもドイツ、スペイン、オランダといった加盟国
で新たな豚コレラの発生が確認されている。ドイツでの豚コレラは、最初、国内
北東部のメクエンブルク・フォアポンメルン州の繁殖農家で発生が確認されると
ともに、そこを発生源として他の3カ所の地域でも豚コレラの発生が確認された。
その結果、6万3千頭を超える豚がと畜された。

 このような状況に対して、隣接国であるベルギーにおいては、同国からの豚の
輸入を禁止する措置を取った。また、オーストリアでも同様の措置が検討される
など加盟国独自の動きが見られた。


域内における家畜流通の拡大・自由化の推進が背景

 これに対してEUは、域内における家畜流通の拡大・自由化を推進していること
から、豚コレラが発生した場合の家畜や家畜精液などの輸入および移動の禁止措
置を国家ベースで行うことを禁じ、発生地域ベースに限定しなければならないと
する規則を制定した。この結果、実質的に各加盟国が豚コレラの発生国に対して
独自の対応を取ることが認められなくなった。

 この規則に従って、ベルギーは、1月20日から実施したドイツからの豚の輸
入禁止措置を1月下旬に同国の4つの発生地域に限定することとした。また、ス
ペインに対するポルトガルの輸入禁止措置についても同様の措置が求められるこ
ととなった。


デンマークの生産者などは反発

 しかしながら、ドイツの豚コレラ発生地域に近いデンマークでは、感染防止に
向けた独自の動きが見られる。生産者は政府に対してドイツからのすべての家畜
輸送車について強制的検査の実施を要請する一方、デンマークから輸出する豚の
輸送車がドイツの農家またはと畜場から戻る際には、国境において自主的に輸送
車の消毒措置を取るなどの防疫措置を図っている。また、同国のと畜業界からも
EU規則に追従している政府の姿勢に対して不満を表している。

 なお、EUの非加盟国であるチェコでは、スペインに加えてドイツからの豚およ
び豚肉製品の輸入禁止を実施している。



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