◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)とミート・アンド・ライブストック・オース トラリア(MLA)の共同調査によるフィードロット飼養動向調査(四半期ごとに公 表)によると、98年 9 月30日現在のフィードロット飼養頭数は、45万 5 千頭と 前年を6.7%下回ることとなった。また、前回調査(98年6月30日現在)と比べる と12.9%の減少となっており、昨年12月期以降、9ヵ月ぶりに40万頭台まで落ち 込んだ。 なお、フィードロットの稼働率(収容能力に対する実飼養頭数の割合)は、前 年同期に比べ 4 ポイント低下して53%となった。 ◇図:フィードロットにおける飼養状況◇
州別に飼養動向をみると、豪州全体の飼養頭数の過半を占めるクインズランド (QLD)州は、前年を9.3%下回る24万5千頭となった。続くニューサウスウェー ルズ(NSW)州は前年比7.4%減の15万5千頭に、ビクトリア州は前年比17.8%減 の 2 万 1 千頭となった。ウエスタンオーストラリアおよびサウスオーストラリ アの 2 州は、前年水準を大きく上回っているが、QLD州およびNSW州の上位2州 でフィードロット全体のおよそ9割を占めることから、両州の動向が豪州フィー ドロット産業全体の動きを決定づけていると言える。 州別フィードロット飼養頭数資料:ALFA/AMLC、ALFA/MLA「National Feedlot Survey」 注 1 :( )内、98年 6 月は対前年比、98年 9 月は対前回比 2 :98年12月は予測値
ALFAでは、頭数が減少した主な要因として、導入される素牛価格が上昇したこ とによるフィードロット業者の増頭意欲の減退を挙げている。これは、NSW州を 中心とした南東部において、今年5月以降、降雨に恵まれ草地状態が良好となっ たことから生産者が肉牛を保留する傾向が強まり、それに伴ない肉牛供給が減少 したことが背景にある。また加えて、9月以降は季節的に放牧が開始されるシー ズンとなることから、通年でも導入頭数が減少する時期であるとしている。
次に仕向け先別のフィードロット飼養頭数をみると、日本向けは前年比4.6%減、 国内市場向けについては同11.6%減となった。特に、NSW州での国内市場向け頭数 が大きく減少したとされている。また、全体に占める日本向けおよび国内市場向 けのシェアは、それぞれ61%、35%となっており、フィードロットで飼養される 肉牛のほとんどは、これら2市場のいずれかに仕向けられるという図式は変わっ ていない。 ALFAは、両市場向けの需要回復や穀物価格の下落がみられることなどから、12 月期のフィードロット飼養頭数について前年を7.8%上回る48万 3 千頭になると 見込んでおり、フィードロットの稼働率についても、9月期より 3 ポイント増え て56%まで回復すると予測している。しかしながら、輸出動向を左右する為替相 場いかんによっては様相を異にするともみている。
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