米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○パッカー上位 3 社の牛と畜頭数シェア低下


上位 5 社は前年同、 6 位以下は大きく変動

 米国の食肉コンサルタントであるCBW社は、1日当たりのと畜処理能力に基づ
く97年の米国の牛と畜処理会社(パッカー)のランキングを行うとともに、パッ
カーの所有する工場数、年間と畜処理頭数等を発表した(一部CBW社の推計を含
む)。
  上位10社のランキングをみると、上位5社は前年と同様であるものの、 6 位以
下は変動が見られた。前年 6 位のBeef America社は、腸管出血性大腸菌O-157に
よる度重なる製品回収事件の影響で財務状況が悪化していたが、98年7月の2週
間に及ぶストライキの後、牛のと畜処理工場を閉鎖しており、今回のランキング
から除外された(その後、同工場はIBP社へ売却されることが決まったが、このラ
ンキングには反映されていない)。これとは対照的に、前年10位のAmerican Foo
ds社は、 1 工場増加したことで処理能力が拡大したため、 7 位に躍進している。

1日当たりの処理能力上位10社のランキング

 資料:「Cattle Buyers Weekly」


上位 3 社の牛と畜頭数シェアは、 3 年連続で低下

 パッカー上位5社の牛のと畜頭数シェアは、ほぼ前年並みの70.5%となってい
る。しかし、上位 3 社について見ると、と畜頭数シェアは、前年に比べて1.2ポ
イント低下し、61.3%となった。上位3社のと畜頭数シェアは94年の63.8%をピ
ークに 3 年連続の減少となっている。97年の上位3社のシェア減少は、IBP社お
よびExcel社が、1日当たりのと畜処理能力1,600頭程度の比較的規模の小さい工
場を閉鎖したことが影響している。

◇図:パッカー上位 3 社の牛と畜頭数シェアの推移◇


と畜頭数減少に伴い、上位30社のと畜能力も縮小

 上位30社合計の 1 日当たりのと畜処理能力は、前年比5.4%減の12万8千頭と
なり、工場数は、前年から11工場減少し62となった。キャトルサイクルの下降局
面で、と畜頭数が減少していることから、一部パッカーで工場の閉鎖など合理化
が進んだためとみられている。今後、さらにと畜頭数が減少すると見られている
ことに加え、特に従業員500人未満の中小規模パッカーについては、危害分析重要
管理点監視方式(HACCP)の導入義務付け適用期日が迫っていることから、パッカ
ーの経営を取り巻く状況は、今後厳しさを増していくものと見られている。


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