米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○98年第 3 四半期の生乳生産、前年水準割れ


98年第 3 四半期の生乳生産、前年比0.3%減

 米農務省(USDA)によると、98年第3四半期の全米の生乳生産量(速報値)は、
前年同期比0.3%減の1,755万トンとなった。四半期別の生乳生産量が前年同期を
下回るのは、カリフォルニア州などの生乳生産地帯における天候不順の影響で生
産が減少した97年第 1 四半期以来のことである。

◇図:四半期別全米生乳生産量◇


良質な粗飼料の不足と夏場の高温が要因

 生乳生産減少の要因としては、@今年初めに記録的な多雨に見舞われたカリフ
ォルニア州や、 6 〜 7 月の干ばつの影響を受けたミネソタ州、南部諸州で良質
な粗飼料が不足したこと、A干ばつなどに伴う高温の影響で、テキサス州、フロ
リダ州などの南部諸州を中心に1頭当たりの乳量が低下したことが挙げられる。
 
 主要20州の生乳生産などの動向を月別にみると、1頭当たりの乳量については、
干ばつが始まった6月から伸びが低下し、 7 〜 8 月は前年同月の水準を下回っ
て推移したものの、9 月には回復する傾向を見せている。また、経産牛頭数につ
いては、一貫して減少傾向が続いていたが、記録的な高乳価や飼料が比較的安値
で安定していることから、徐々に減少率が低下し、9月には9年12月以来、7年
10ヵ月ぶりに前年同月の水準を上回った。

◇図:主要20州の生乳生産量等の増減率の推移◇


主要20州の生乳生産は回復の兆し、ただし、カリフォルニア州は依然低迷

 この結果、生乳生産量は、9月には経産牛1頭当たりの乳量と同様に回復の傾
向を見せている。ただし、最大の生乳生産量を誇るカリフォルニア州では、生産
量は3月以降前年同月の水準をほぼ下回って推移しており、今のところ回復の兆
しはみられない。最近のバターを始めとする乳製品価格の高騰をもたらした要因
の1つは、生乳生産の減少であると言われているだけに、米国全体の生乳生産の
動向に大きく影響するカリフォルニア州の今後の動向が注目される。


アイダホ州が 6 位、ニューメキシコ州が10位に躍進

 第3四半期の生乳生産量を州別にみると、上位5州までは第2四半期と同様で
あるものの、6位以下には変動が見られた。近年生乳生産の増加が著しいアイダ
ホ州が6位(第2四半期は7位)に、ニューメキシコ州が10位(同11位)にラン
クを上げた。一方、酪農経営体数の減少が続いているテキサス州は、干ばつに伴
う高温による生乳生産の減少もあり、第 2 四半期の 61 位から 9 位へと後退し
た。

98年第 3 四半期の州別生乳生産量および経産牛頭数

 資料:NASS/USDA「Milk Production」


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