台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○養豚離農補償手続きが始まる


養豚離農申請、受付開始される

 農業委員会(農業省に相当)は10月26日、離農を希望する養豚農家が関連法規
に基づいて手続きできる旨を公示した。これは、農業委員会が台湾のWTO(世界貿
易機関)加盟をにらんで、将来的に養豚の継続が困難になるとみられる小規模農
家の離農に関する補償基準案を策定し、行政院の関係部門で審議されていたもの
である。

 農業委員会は、WTO加盟に当たっては、台湾の養豚産業構造の調整・再編を図り
つつ、その競争力を向上させる必要があり、高品質化、高効率化、低コスト化に
耐え得る養豚産業を育成するとともに、養豚による環境汚染を低減・防止するた
めにも、競争力の弱い農家に対しては離農を指導していくとしている。


離農補償金支払の手順

 養豚離農手続きを行おうとする農家は、98年11月〜12月の2ヵ月間、郷鎮区役
所において離農申請手続きをとることとされており、以下の手順で離農補償金が
支払われる。

1 郷鎮区役所は申請受理後、書面審査を実施した上で調査日時を決定して申請
 者に通知する。

2 郷鎮区役所が設置する離農補償執行班が現地に赴き調査を行う。申請者は調
 査に立ち会い、協力しなければならない。

3 郷鎮区役所は調査結果などを県市政府および直轄市の建設局に報告し、それ
 らが設置する離農補償審査班の審査を受ける。

4 審査の結果、合格となった場合には郷鎮区役所を通じて申請者に通知される。
5 養豚農家は通知後 6 ヵ月以内に自費で施設を撤去する。


6 離農補償執行班が撤去完了の調査を行った後、郷鎮区役所は撤去証明書を発
 行する。

7 県市政府および直轄市建設局は撤去証明書に基づいて離農補償金を支払う。


離農決定に当たっては長期的展望が必要

 農業委員会では、離農に当たっては長期的な展望に基づいて決定するように求
めている。将来的に台湾がWTOに加盟することになれば、豚肉の輸入自由化を受け
入れなければならず、農家が養豚を続けていくにはコスト削減が大きなカギとな
る。農業委員会は、競争力を持たない農家が期限内に申請せず、後日、離農を決
意しても補償は行わないとしており、農家が離農を決定するに当たっては、競争
力の有無を充分に考慮すべきだとしている。そのためには、離農の条件や現在の
豚の高値に惑わされることなく、生産コストを再生産が可能な目安とされる生体
100kg当たり3,800元(1元=約3.7円)以下に抑制できるか否かを検討すべきであ
るとして、自らの経営力を子細に検討して判断することを呼びかけている。


肉豚価格は下降傾向

 9月上旬にピークを迎えた肉豚卸売価格は、下落傾向を示しており、11月上旬
の時点ではほとんどの市場で 5 千元台後半の水準で推移している。 1 日当たり
のと畜頭数は、 9 月が 2 万1,700頭、10月が2万2,400頭と増加する傾向にあり、
農業委員会では、卸売価格は今後も弱含みで推移すると予測している。

◇図:肉豚卸売価格の推移◇


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