連邦議会、99年度一括歳出法案を可決(米国)


農業予算に59億ドルの農家緊急対策が盛り込まれる

 11月3日に米議会選挙を控え、例年にない駆け引きにより成立の遅れていた99
年度一括歳出法案は、米下院議会が10月20日、同上院議会が21日、それぞれ賛成
多数で可決し、クリントン大統領の署名により、同日、総額約5千億ドル(約61
兆円: 1 ドル=122円で換算)に上る99会計年度(98年10月〜99年9月)予算案
が成立した。

 USDA関係の予算では、通常予算の559億ドル(約6兆 8 千億円)に加え、59億
ドル(約 7 千 2 百億円)の農家緊急支援対策などが承認された。


穀物生産に対する直接支払いの追加交付と災害支援金の交付が2つの大きな柱

 焦点の 1 つとなった農家緊急支援対策の概要は以下のとおり。

 第 1 に、約200万戸の生産者に対して、農産物価格の低迷と輸出の減少による
2つの打撃を緩和するため、96年農業法で不足払いの代替措置として導入された
穀物(綿花を含む)生産に対する直接支払いを約50%増額し、約30億ドル(約3
千7百億円)の追加交付を行う。なお、この中には、本来、当該直接支払いの対
象には含まれない、酪農家に対する最大02 億ドル(約 2 百億円)までの直接支
払いが含まれている。

 第2に、干ばつや作物の病気などの自然災害により被害を受けた生産者に対し、
約26億ドル(約 3 千 2 百億円)の災害支援金が交付される。その内訳をみると、
@98年に生産の損失を被った生産者に対して15億ドル(約 1 千 8 百億円)、A
複数年にわたり被害を受けた、特に、小麦赤カビ病や洪水により被害を受けた上
部中西部の生産者に対して約9億ドル(約1千1百億円)、B災害により98年の
給与飼料に被害が及んだ家畜生産者に対する飼料援助として2億ドル(南部を中
心とした一部助成措置)となっている。


IMFに対する179億ドル(約 2兆 2 千億円)の資金供出なども承認

 以上のほか、アジア経済危機などに伴う農産物輸出の不振から、農業団体の要
請していたIMFに対する179億ドル(約02 兆 2 千億円)の資金供出が承認された。
全国豚肉生産者協議会(NPPC)は、これによりアジア経済の支援・救済措置が続
けられることから、今後の輸出に好影響をもたらすものと期待している。USDAの
輸出信用保証事業(GSM102、103など)は、対象国がIMFによる復興計画を実施し
ていることなどが条件となっていることから、USDAもこれを強く要請していた。

 また、税制面では、@自営業者の健康保険に係る保険料控除率の引き上げ、A
所得の経年平均化、B損失が生じた場合の最長5年までさかのぼれる税金還付措
置などが承認された。

 なお、食肉検査手数料を全額業界に負担させることとしていた案は却下された。
また、予算そのものではないが、酪農に関連する措置として、連邦ミルクマーケ
ティングオーダー制度改革の最終実施期限が、当初予定の99年4月から99年10月
に延期されることとなった。


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