◇絵でみる需給動向◇
米農務省 (USDA) によると、 米国の1〜9月累計の牛肉輸出量は、 前年同期比 9.4%増の71万1千トンとなり、 増加傾向を維持した。 しかし、 その国別の 内訳を見ると、 日本、 カナダ、 メキシコ、 韓国の4つの主要市場で明暗が大きく 分かれている。 日本向け輸出は、 前年同期比2.8%減の35万6千トンとなり、 米国の牛肉輸出に占める、 日本向けの割合は50%にまで落ち込んだ。 また、 カ ナダ向け輸出も、 同4. 1%減の9万7千トンと減少している。 なお、 9月の牛肉輸出量は、 前年同月比43.5%増の8万9千トンとなった が、 これは、 昨年の同時期に日本のSGにより、 輸入量が減少したことの影響が大 きいものと考えられる。
日本、 カナダ向けの輸出が伸び悩む一方で、 韓国向けの1〜9月累計の輸出量 は、 前年同期比30.3%増の9万トンと大幅に増加した。 また、 メキシコ向け は、 実に同80.5%増の9万7千トンと昨年同期の2倍近くまで急増した。 こ の2カ国への輸出増加量は、 97年1〜9月累計の米国の牛肉輸出量の増加量に 相当しており、 両国向けの好調な輸出が全体の輸出量を押し上げていると言える。 ちなみに、 近年は、 カナダのシェア低下と、 メキシコ、 韓国のシェア上昇に伴 い、 これら3カ国への輸出シェアは非常に接近した状態となっている。 日本を除 く3カ国は、 97年にはほぼ横一線に並んだが、 その中で、 メキシコは、 97年 1〜9月累計の輸出量において、 わずかではあるがカナダを抜き、 米国牛肉の第 2の輸出相手国となった。 ◇図:米国産牛肉の輸出相手国別割合の推移◇
メキシコ向け輸出量の増加の要因としては、 次の2つが挙げられる。 1) NAFTA締結による輸入関税の撤廃 米国からメキシコへの牛肉輸出に関しては、 メキシコにおいて20% (生鮮お よび冷蔵) ないしは25% (冷凍) の輸入関税が課せられていたが、 北米自由貿 易協定(NAFTA) 締結により、 94年1月から無税とされた。 このため、 94年の 輸出量は前年比85.8%増の10万1千トンにまで達している。 また、 これは、 メキシコ通貨危機後の最近の輸出量増加に対しても、 重要な要因の1つとなって いる。 2) メキシコ経済の回復 その後、 94年12月に発生したメキシコ通貨危機により、 経済は大きな打撃 を受け、 翌年95年の輸出量は94年実績の2分の1以下の低い水準に急減した。 しかし、 メキシコ経済の回復により米国からメキシコへの牛肉輸出量は順調に回 復している。 97年のメキシコ向けの輸出量は、 過去最高であった94年の水準を超えるの は確実とみられており、 今後も、 引き続き増加するものと見られていることから、 メキシコが米国牛肉の第2の輸出相手国として定着する可能性もある。 ◇図:米国牛肉のメキシコ向け輸出数量の推移◇
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