タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○タイの鶏肉需給


増加の伸びが鈍化している国内生産

 タイ農業協同組合省が公表した統計によると、 97年9月のブロイラーの生産
量は、 前年同月比14. 1%増の72. 5百万羽と引き続き大幅な増加となっ
た。 しかし、 6月に70百万羽を超えた生産量は、 対前年同月の伸び率が、 前月
までの20%を超える水準から見ると低下している。 また、 ひなのふ化羽数につ
いても、 9月には、 前年同月比14%増の75.9百万羽となり、 96年2月か
ら続いていた前年同月比20%以上の伸びが鈍化している。 今後の生産量は、 引
き続き増加が見込まれているものの、 需要の伸びが鈍化していることから、 これ
までのような大幅な生産量の増加は望めないものと思われる。 


堅調に推移する卸売価格

 バンコック市場における11月の鶏肉の卸売価格 (速報) は、 1kg当たり29. 
0バーツ (前年同月比11.3%増) となっており、 不需要期であった前月と比
べると2.2バーツ高と大幅な上昇となっている。 これは、 国内の鶏肉消費がま
だ、 高い水準であることに加えて、 海外市場からの注文が多く入ったことから、 
一部の国内市場向けのものが、 海外市場向けに振り向けられたことにより上昇し
たものと見られている。 なお、 需要期である正月に向けて、 卸売価格が上昇傾向
で推移するとの見込みから、 養鶏業者の中には増産の動きがある。 しかし、 ブロ
イラーひなの価格は、 前月の7. 5バーツ/羽から今月の9. 0バーツ/羽と
上昇傾向で推移しており、 ブロイラーの卸売価格も、 現在の水準かもしくは更に
上昇するものと予想される。 


ブロイラー輸出価格が高騰

 ブロイラー(冷凍鶏肉) の輸出価格 (FOB) は97年に入り、 トン当たり6万5
千バーツ前後でほぼ安定的に推移していた。 しかし、 7月は、 トン当たり7万1, 
655バーツと前月と比べて11. 8%、 金額にして7, 570バーツ高の急
騰となった。 このうち、 全輸出量の約65%を占める対日輸出についても、 輸出
価格が6万7,653バーツと、 前月と比べると14.9%、 金額にして8,7
92バーツ高となった。 

 これは、 タイのブロイラー輸出業者の多くが、 契約をUSドル建てで行っており、 
USドルベースでの輸出価格は低下しなかったため、 当月より実施された為替相場
制度の変更に伴い通貨バーツが下落した分 (1USドル=約25バーツから約30
バーツへ) 、 バーツベースでの輸出価格が上昇したためと見られている。 

 しかし、 ブロイラーのUSドルベースでの輸出価格も、 その後は低下傾向で推移
しており、 このバーツベースでの輸出価格の高騰は、 一時的なものと見られてい
る。 


CPグループ、 「タイの鶏肉は安心」 と発表

 香港での新型鶏インフルエンザの発生を受けて、 冷凍鶏肉および鶏肉調製品を
日本やEU向けに輸出している、 タイの最大手の鶏肉輸出業者であるチャロン・ポ
カパン (CP) グループの農産物部門の責任者は、 タイにはこのインフルエンザの
ウィルスは存在しないし、 タイの鶏はこのウィルスには感染していないと発表し
た。 また、同グループの処理工場は、 国際基準ISO9002に認定されており、 衛
生的にも香港とは水準が違うことから、 同国の鶏肉がこのウィルスに汚染されて
いる等の心配はない、 と述べており、 国内外での同国産鶏肉に対する不安を払拭
するのに躍起となっている。 



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