米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○低迷するブロイラー価格


需要期の価格上昇見られず

 米農務省 (USDA) によると、 97年第4四半期のブロイラー卸売価格 (丸どり、 
12都市平均) は、 前年同期に比べ15.1%安の54セント/ポンド (約15
5円/kg) となり大幅に下落した。 当該価格は、 好調な需要を反映して、 95年
7月〜97年4月の2年間、 一貫して上昇傾向であったが、 97年5月以降は、 
一転して前年水準を下回って推移している。 この要因としては、 97年春以降顕
著となってきたブロイラー生産の増加が挙げられる。 ちなみに、 97年の生産量
は、 前年比3. 3%増となっている。 

 ブロイラー価格は、 通常、 野外でのバーベキューや感謝祭等で需要が増加する
夏期や晩秋期に価格上昇が見られるが、 97年の第4四半期については例年の価
格反発も見られず、 通年で比較しても最安値となった。 

 USDAでは、 生産増加の影響を受けて、 今後もしばらくの間は卸売価格の低迷が
続くと見込んでおり、 98年第1四半期の丸どり価格は、 54〜56セント/ポ
ンドになると予測している。 


もも肉価格が大幅安

 ブロイラーの卸売価格を主要品目別に見ると、 輸出向けの主力となっているも
も肉は、 96年末からの低調な輸出需要により安値が続いており、 97年第4四
半期の卸売価格 (ホール、 北東部) は、 前年同期比21. 3%安の46. 3セ
ント/ポンドであった。 また、 国内向けが主力であるむね肉についても、 97年
5月以降は概ね前年水準を下回っており、 97年第4四半期の卸売価格 (ボンレ
ス、 北東部) は、 前年同期比5. 5%安の156. 1セント/ポンドとなって
いる。 

◇図:ブロイラー卸売価格の推移◇


収益性が急速に悪化

 こうした卸売価格の低下を受けて、 生産者 (加工業者) の収益性も悪化してき
ている。 97年12月の純利益 (加工業者段階、 以下同じ) は、 前年同月に比べ
96. 2%安の0. 4セント/ポンドとほぼ損益分岐点の値となり、 97年第
4四半期平均で見ても、 前年同期比81.6%安の1.6セント/ポンドと、 大
幅な減益となった。 

◇図:ブロイラー生産の純利益の推移◇


春先の需要回復に期待

 ブロイラー生産は、 97年通年では96年秋以降の飼料コストの低下がブロイ
ラーの価格低迷を相殺したため黒字経営となったが、 今後一層価格が低下するな
らば、 経営状態は困難なものになると考えられる。 

 また、 主要な輸出市場であるアジアでは通貨の急落から需要が激減しており、 
他の主要生産国との輸出競争も激化するなど、 米ブロイラー業界を取り巻く環境
は大変厳しいものとなっている。 このため、 業界では、 行楽シーズンとなる春先
の需要回復に大きな期待を寄せている。 



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