◇絵でみる需給動向◇
97/98年度 (7月〜6月) の主な乳製品の輸出は、 10月までの4カ月間 の動向を見る限り、 その伸び率が前年度に比べ減少もしくは大きく鈍化している。 特に、 96/97年度は、 各品目の輸出が軒なみに前年度比20〜40%台の増 加を記録しただけに、 その伸び悩みが際立っている。 主な乳製品の輸出量 資料:「Statistics New Zealand」
主力製品の中でも、 脱脂粉乳の輸出は、 前年度比1%減の6万1千トンと、 減 少に転じている。 ニュージーランド・デイリー・ボード (NZDB) によれば、 これ は、 97年7月のタイバーツ急落以来、 東南アジア諸国を中心とした通貨危機の 影響によるとされている。 東南アジア地域は、 ニュージーランドの脱脂粉乳の主要な輸出先であり、 近年 の順調な経済成長を背景にその輸入量を伸ばしてきた。 特に、 脱脂粉乳を使用し た乳飲料や各種調製品等に対する需要の伸び等を反映して、 96/97年度は前 年度比44%と、 大幅な増加を記録した。 ところが、 97年7月以来の通貨急落 によって、 購買力が低下し、 需要が大きく減退したことにより、 同地域への脱脂 粉乳輸出は大幅に減少しており、 97年7月〜10月では、 マレーシア向けが前 年度比32%減、 台湾向けが同30%減、 タイ向けが同14%減、 インドネシア 向けが同12%減となった。
脱脂粉乳以外の主要品目では、 チーズの輸出量が前年同期とほぼ同量の6万8 千トンとなり、 41%も増加した96/97年度と比較すると、 伸び悩んでいる。 また、 最も数量の多い全粉乳の輸出も、 前年度比5%増の10万4千トンにとど まり、 東南アジア地域の通貨危機の影響を受けて、 伸び率が急速に鈍化している。 さらに、 バターは同10%増の9万2千トンとなり、 7月以降、 国際価格が高騰 したことの影響もあって、 伸び率は前年度の33%増から大きく後退している。
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