米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○脱脂粉乳の民間在庫が増加


昨年後半以来、 民間在庫が高水準で推移

 米農務省 (USDA) によると、 11月1日時点の脱脂粉乳の民間在庫量は、 前年
同期比143.6%増の5万2千トンとなった。 当該在庫量は、 97年7月以降、 
前年の2倍以上の高水準で推移している。  (下図参照) 

 脱脂粉乳の生産について見ると、 96年には生乳生産の減少と、 チーズ生産の
増加によって、 前年同期比14.4%減と大幅に減少したが、 その後回復傾向に
転じ、 97年3月から前年水準を上回って推移している。 97年1〜11月まで
の累計では、 前年同期比15.1%増の50万1千トンとなっており、 ほぼ95
年の生産水準にまで回復した。 

 一方、 脱脂粉乳の需要は、 停滞しており、 USDAが12月に公表した97年1〜
9月累計の脱脂粉乳需要量は、 前年同期比13.5%減の31万3千トンとなっ
ている。 

 また、 生産増加、 需要減退およびそれに伴う在庫量の増加という状況を反映し
て、 脱脂粉乳の卸売価格は低迷しており、 12月の西部地区の脱脂粉乳の FOB価
格 (速報値) は、 前年同期比7. 8%安の104. 4セント/ポンドとなって
いる。 

 こうした中、 加工原料乳価格支持制度による商品金融公社(CCC) の脱脂粉乳の
買い入れが、 97年5月以降コンスタントに行われており、 97年の買い入れ量
は1万8千トンに達した。 96年には、 原料乳不足で乳製品価格が軒並み高騰す
る中で、 全品目とも CCCによる買い入れが行われなかったのとは対照的な状況と
なっている。 

◇図:脱脂粉乳の民間在庫量の推移◇


脱脂粉乳生産増加の背景

 脱脂粉乳価格が低迷し、 在庫が積上がっていく状況の中で、 脱脂粉乳の生産が
増加した要因としては、 97年前半におけるチーズの卸売価格急落により、 それ
まで順調に増加していたチーズ生産が一時期停滞し、 その結果、 脱脂粉乳などの
その他の乳製品の生産へ仕向けられる生乳が増加したことが挙げられる。 


98年も脱脂粉乳価格の回復は見込めず

 USDAが公表した12月時点の需給予測によると、 98年の生乳生産は若干増加
する一方で、 脱脂粉乳の需要は引き続き低迷するとしており、 その結果、 現在の
高い水準とあいまって、 脱脂粉乳の価格は、 少なくとも98年前半は回復しない
と予測している。 

 また、 乳製品輸出奨励計画 (DEIP) による乳製品輸出は、 97年にはウルグア
イラウンド (UR) 合意に基づく上限まで実施されたと見られているが、 その上限
は、 年々引き下げられることが決まっており、 98年には、 これ以上の輸出の増
加は見込めない状況にある。 

 さらに、 加工原料乳価格支持制度に基づくCCC による乳製品の買い入れについ
ても、 買い入れ単価が98年1月から引き下げられた。 98年の加工原料乳支持
価格は、 前年より0. 15ドル引き下げられ、 10. 05セント/百ポンドと
なり、 同様に脱脂粉乳の買入価格も、 1. 9セント引き下げられ、 102. 8
セント/ポンドとなった。 



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