◇絵でみる需給動向◇
台湾省政府の発表によると、 昨年10月下旬に底を脱して反発に転じた肉豚価 格は、 概ね安値安定傾向で推移している。 6月以降の肉豚価格は、口蹄疫発生で輸出市場を失ったことによる供給過剰、お よび夏季の消費減退局面を迎えたことから、 約5ヵ月間に渡って一貫して下降傾 向を示した。 しかしながら、 冬場に差し掛かり豚肉需要が高まり始めたことから 10月下旬は底を打ち、 11月上旬にかけて約3千元 (生体100kg当たり、 1 元=約4円) にまで上昇した。 肉豚価格はその後も安定して推移し、 年明けの1 月上旬の段階では殆どの肉豚卸売市場で2千元後半〜3千元前半の水準を保って いる。 また、 肉豚供給量についてみると、 代表的な3市場 (台北県、 台中市、 屏 東県) における12月の取引頭数は、 11月と比較すると約4%減少しており、 季節的需要の高まりに加えて供給量が減少したことも価格安定の一因となってい ると考えられる。 肉豚価格は回復基調にあるとは言え、 生体100kg当たりの生産コストとされ る4千5百元前後には未だ遠く及ばない。 しかしながら、 台湾では、 季節的需要 の一つの大きなヤマは 「春節」 (旧正月:今年は1月28日) の前後に来ること から、 1月下旬から2月上旬を中心として需要がさらに盛り上がることが期待さ れている。
長期化する肉豚価格の低迷により、 養豚農家の収益性が極めて悪化していると 伝えられる。 97年末に新竹県、 高雄県、 彰化県および台中市で口蹄疫が再発生 した問題で、 その発生原因がワクチンの補強接種を怠ったためであったことから、 農業委員会 (農業省に相当) は、 養豚農家がコスト削減のためにワクチンの再接 種を止めることに対して警戒感を強めている。 農業委員会では、 ワクチンの補強接種を怠っている養豚農家が一軒でもあれば、 これまでの努力が水泡に帰すと警告した上で、 豚にワクチンの接種を行わなかっ た農家に対して1万〜5万元の罰金を課すとしている。 また、 そうした農家で口 蹄疫が発生して豚が死亡しても保証は一切行わないとして、 強い態度でこの問題 に対処していくことを宣言するとともに、 ワクチン補強接種の徹底を呼びかけて いる。 ◇図:肉豚卸売価格の推移◇
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