米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○豚飼養頭数が増加傾向


総飼養頭数は6. 7%増

 米農務省が、 四半期毎に実施している豚の飼養動向に関する調査によると、 9
7年12月1日現在の全米の豚飼養頭数は、 前年同期を6. 7%上回る5, 9
92万頭となった。 その内訳を見ると、 肥育豚頭数は、 前年同期比7.0%増の
5, 294万頭、 繁殖豚頭数は、 同4. 7%増の698万頭となっており、 そ
れぞれ前年をかなり上回る水準となった。 

 ちなみに、 豚飼養頭数は、 95年6月以降、 前年を下回る水準で推移していた
が、 97年6月からは一転して前年を上回った。 この背景としては、 生産コスト
の約7割を占めるトウモロコシ等飼料価格の低下により、 穀物・肉豚兼業経営の
生産者が穀物生産から肉豚生産にシフトしたことや、 口蹄疫発生により禁輸とな
った台湾産の代替需要を見込んで、 生産者の増頭意欲が増したことが挙げられる。 

 また、 今後の分娩予定頭数を見ると、 97年12月〜98年2月期では、 前年
同期比9. 2%増、 98年3月〜5月期では3. 5%増加すると見込んでおり、 
今後も飼養頭数の増加傾向が続くと予想されている。 

表−1 豚飼養頭数の推移(12月1日現在)

 資料:USDA「Hogs and Pigs」
  注:肥育用、繁殖用いずれも雌雄含む


伝統的生産州、 新興生産州いずれも増加

 州別の飼養頭数を見ると、 最も多いのはアイオワ州の1,400万頭で総飼養
頭数の約23%を占めており、 続いてノースカロライナ、 ミネソタ、 イリノイ、 
インディアナと前年同様の順位となっている。 

 飼養頭数は、 いずれの州についても前年水準を上回ったが、 中でも、 伝統的に
中小規模の穀物 ・ 肉豚兼業経営が主体の生産州であるアイオワ州の豚飼養頭数
(97年12月1日現在、 以下同じ) は、 前年同期に比べ14. 8%増の大幅な
増加を示した。 これは、 最近の穀物価格の低下により、 95年から96年にかけ
て穀物生産に重心を置いていた生産者が、 穀物生産から肉豚生産にシフトしたた
めとみられている。 

 また、 大手パッカーのインテグレーション経営が盛んな新興の肉豚生産州であ
るノースカロライナ州の飼養頭数も、 前年同期比4.3%増と引き続き増加した。 

表−2 上位5州の豚飼養頭数(12月1日現在)

 資料:USDA「Hogs and Pigs」
  注:肥育用、繁殖用いずれも雌雄含む


西部山岳州の生産が拡大

 この他上位5州以外に大幅な変動が見られたのは、コロラド、ユタの両州で、 飼
養頭数はそれぞれ79万頭、30万頭と少ないものの、前年同期に比べて25.4
%、 81.1%増と大幅な伸びを示した。 この背景には、 近年各州における環境
規制が強化され養豚業が制約されつつある中、 西部山岳地帯では、 比較的環境規
則が緩やかなため、 新規参入や規模拡大がしやすく、 この地域の生産が増加して
いることが挙げられる。 このため、 今後は、 全体の6割以上を占める上位5州が、 
その飼養頭数を維持できるか注目されている。 



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