特別レポート 

中国における食肉の輸出入の動向及び政策 (第11回世界食肉会議より (2) )

企画情報部



 前月号に引き続き、 テーマ別の事項として、 中国の輸出入政策・動向等に関す るキーパーソンの講演内容を紹介する。  対外経済貿易合作部 (貿易省に相当) 対外貿易局長の李東生氏は、 「中国の食 肉の輸出入に関する政策」 と題する講演の中で、 食肉の輸出入の歴史と現状を踏 まえた上で、 政府の輸出入政策を次のとおり説明した。

I 中国の食肉輸出入の歴史と現状


 中華人民共和国 (以下 「中国」 という) の樹立以来、 食肉製品の輸出入、 特に
輸出は、 中国の農産物及びその副産物の外国貿易における重要な一部であり、 中
国農業の健全な発展において、 また国民の日常生活の要求に応える意味で重要な
役割を果たしてきた。 特に、 第11回共産党中央委員会第3次総会以降の改革と
対外開放政策の徹底にともなって、 中国の国家経済は前例のない発展を示し、 農
業は素晴らしい成果を上げ、 食肉産業の生産、 販売、 輸出などのすべての分野に
おいて大幅な進展を見せてきた。 


1 食肉輸出の基調

 (1) 中国の樹立以前は、 中国の農業は基本的に自給自足の経済で、 大規模な営
  農の形態をとることができなかった。 しかし、 50年代から中央政府の主導
  及びあらゆるレベルの地方政府との共同努力によって、 農業は比較的急速に
  力をつけて発展し、 中国の家畜及び食肉製品の輸出はその強みを着実に現し
  始めた。 50年から59年にかけて、 中国が輸出した生体豚の総数は636
  万3千頭、 生体牛は65万4千頭、 生体家きんは1億272万羽、 冷凍豚肉
  は79万トンであった。 特に、 54年から59年にかけて、 中国の家畜及び
  食肉製品の輸出は、 国内農業のさらなる発展にともなって安定した形で速や
  かに増大した。 それが顕著に見られたのは生体牛と冷凍豚肉の輸出であった。 

 (2) 60年代に入ると、 深刻な自然災害に影響されて、 中国の農業生産は60
  年から62年にかけて落ち込んだ。 それが食肉生産の減少につながり、 輸出
  にもある程度陰りが見られた。 しかし、 この困難な時期に、 中国政府は香港
  とマカオの社会的安定と経済発展を守るために、 大量の生体豚、 生体牛、 生
  体家きん、 その他の畜産物を供給した。 中国の農業生産物とその副産物の輸
  出は、 60年から減少し、 62年にはわずか2億9千万米ドルに過ぎなかっ
  た。 これはほぼ50年の水準に戻ってしまったことを示している。 しかし、 
  同じ時期、 香港とマカオに対する生体豚、 生体家きんなどの輸出は基本的に
  以前と同じ水準を保っていた。 これは中国の輸出の歴史における特殊な事例
  である。 中国は63年から建国以来の最も困難な時期を乗り切り、 農業生産
  は回復し始め、 食肉の生産量もある程度増加した。 その都市、 生体豚の輸出
  は初めて100万頭を超えて130万2千頭に達した。 

   60年から69年までの総輸出量は、 生体豚が983万5千頭、 生体牛が
  73万5千頭、 生体家きんが1億3,914万羽、 冷凍豚肉が69万8千ト
  ンであった。 

 (3) 70年代に入ると、 国家経済の回復と農業全般の状況の改善にともなって、 
  食肉製品の輸出は次第に回復し、 安定して伸び続けた。 71年から79年に
  かけて、 生体豚の輸出頭数は毎年200万頭を超えた。 

   70年から79年までの総輸出量は、 生体豚が2,219万3千頭、 生体
  牛が123万4千頭、 生体成鶏が1億7,960万羽、 冷凍豚肉が72万7
  千トンであった。 

 (4) 80年代に入ると、 中国は国内的には改革政策を、 対外的には開放政策を
  展開した。 農業の改革は素晴らしい成果となって現れ、 食肉の生産は急速に
  増大した。 同時に、 中国の外国貿易体制の改革は改革・開放に対する要求に
  応えるために次第に徹底したものとなり、 新しい複数レベルの多様な経路の
  外国貿易構造が生まれ、 それによって食肉製品の輸出の拡大のための健全で
  実体に即した輸出環境が出現した。 

   80年から89年までの総輸出量は、 生体豚が2,478万5千頭、 生体
  牛が202万2千頭、 生体家きんが3億万羽、 冷凍豚肉が85万1千トンで
  あった。 

 (5) 90年代に入ると、 中国の外国貿易は極めて急速に増大し、 91年から9
  6年までに、 総輸出高はその前の5年間の1.5倍に当たる6億6千万米ド
  ルに達した。 輸出品の加工度も次第に向上した。 すなわち、 一次加工製品の
  輸出から加工度の高い製品の輸出へと変化した。 食肉製品の輸出はさらに安
  定して増大したが、 全輸出高に占める割合は低下し続けた。 

   90年から96年までの総輸出量は、 生体豚が1,493万5千頭、 生体
  牛が103万5千頭、 生体家きんが2億7千万羽、 冷凍豚肉が81万6千ト
  ンであった。 

 (6) 主要な輸出相手国と地域

   中国の家畜及び食肉製品の輸出相手国と地域は、 世界の政治・経済状況の
  変化によって異なっている。 これは次のような様相になって現れている。 

1) 50年代には、当時の世界全体の政治・経済状況によって、 いくつかの主要資
 本主義国が中国に対して経済封鎖を行っていたので、 中国の食肉製品の主要輸
 出市場は旧ソ連と東欧圏に限られていた。 59年から、 旧ソ連および東欧圏と
 の貿易は急激に減少したものの、 80年代末からは中国と旧ソ連との緊張緩和
 を反映して食肉の輸出が回復し、 伸びていった。 

2) 香港とマカオの社会的安定、 経済発展、 繁栄を目的として、中国政府は50年
 代からこれらの地域に生体家きんを含む生体家畜、 冷凍食肉、 その他の食肉製
 品等、 住民の日常の生活に関わる必需食料品以外の食料を供給してきた。 しか
 し、 この事業の開始時には輸送条件が劣悪だったので、 途中で動物がへい死し
 たり、 貨物が劣化する率が非常に高かった。 この問題の解決のために、 鉄道部
 と対外経済貿易合作部 (MOFTEC) は62年3月20日から香港とマカオに生鮮
 食品、 生体家きんを含む生体家畜、 冷凍食品等を供給するための貨物急行列車
 を走らせた。 その後、さらに2本の急行列車が加わった。これらがいわゆる 「香
 港・マカオ供給3急行」 である。 これらの急行列車は35年の間に、 全部で8, 
 700万頭の生体豚、 520万頭の生体牛、 数十億羽の生体家きん、 200万
 トンの冷凍食肉を香港とマカオに輸送したが、 その総額は数百億米ドルにも上
 る。 こうして、 香港とマカオは中国の家畜及び食肉製品の最大の輸出市場とな
 っている。 また、 この輸出が、 香港とマカオの繁栄と安定を保証する確固とし
 た物資補給の役割を果たしてきた。 


2 食肉輸入の概観

 中国の輸入は、 主として穀物や油などの必需食品で構成されており、 総輸入に
占める食肉製品の割合はきわめて小さい。 

 食肉製品の輸入は、 2つの段階を経てきた。 第一段階は中国の樹立から改革・
開放政策が採用され始めた時期までである。 この期間、 資本主義国は米国の主導
のもとに、 新中国の台頭を押えるために禁輸措置をとり、 政治、 経済、 その他の
すべての分野で中国に対して制裁措置をとった。 そこで、 わが国とそれらの諸国
との貿易は基本的に停滞し、 食肉製品の輸入はないに等しかった。 

 第二段階は、 中国が改革・開放政策をとり始めて以降の時期である。 国内経済
の急速な発展によって国民の生活水準は向上し続け、 1人当たりの食肉消費量は
かなり増加した。 特に80年代からは中国にいくつかの高級ホテルやレストラン
が出現し、 それらが高品質の食肉製品に対する需要を生み出した。 この需要を満
たすために、 中国は主として香港、 米国、 豪州、 ニュージーランド等から高品質
の生鮮、 冷蔵及び冷凍の牛肉を輸入し始めた。 近年は輸入量が増加する傾向にあ
る。 

 しかし、 農業と家畜管理分野の効果的な改革によって、 中国の食肉製品の年間
生産量が85年の1, 926万5千トンから95年の5, 260万1千トンへ
と増加したことに注目したい。 95年の内訳は豚肉が3,648万4千トン、 牛
肉が415万4千トン、 羊肉が201万5千トン、 家きん肉が934万7千トン、 
兎肉が26万8千トンであった。 

 中国は世界の主要食肉生産国であり、 基本的に食肉製品に対する国民の需要を
満たしており、 国民は食肉製品の販売価格を負担するだけの所得を持つ。 同時に、 
中国は現在に至るまで一大農業国であり、 国民の1人当たりの所得と先進国のそ
れとではいまだに大きな格差がある。 さらに、 先進国の食肉製品の生産コストは
比較的高いので、 現段階では、 国民は概して外国から輸入した食肉製品を購入す
る余裕はない。 そこで、 輸入された高品質の食肉製品は主として高級なホテルや
レストランで使われる。 


II 食肉輸出入に関する中国の政策


 中国の食肉製品の輸出入は全体的な国の経済および貿易政策と密接な関係があ
り、 歴史の変遷に伴って異なっている。 これは次の2つの段階に区分できる。 

1 第一段階は、 新中国の樹立から、 改革・開放政策を採用する前の79年まで
 の時期である。 この期間、 わが国の外国貿易は、 高度に中央集権化された国家
 計画体制の下で行なわれ、 国家が一元的に管理していた。 すなわち、 すべての
 外国貿易活動は国家計画の下、 政府の行政命令で管理されていた。 食肉製品の
 輸出入も国家が一元的に国家計画に従い行っており、 割当制によってのみ管理
 されていた。 すべての輸出入は、 商品の購入、 割当と輸送、 量と価格、 外国通
 貨の収支、 財政管理、 さらには人事管理を含め、 一元化された外国貿易計画を
 基に完全に管理され、 実行されていた。 利益は国家に収め、 損失は国家が負担
 した。 実務に携わる会社はすべて国家計画の受動的な実行組織であって、 外国
 貿易活動を自らおこなう権利を持っていなかった。 この外国貿易管理体制は基
 本的に当時の計画経済体制に適しており、 中国の社会的、 経済的な発展と外国
 貿易全体において牽引力の役割を果たしていた。 

  この段階は、 わが国の食肉の輸出入は国家によって計画され、 その計画は油、 
 穀物、 食料に携わるすべての企業によって実行されており、 国家が支払に責任
 を持ち、 収入を管理していた。 

2 第二段階は、 中国が改革と対外開放の政策をとり始めた時に始まった。 この
 期間、 中国は 「改革・開放」 という偉大な政策を確立し、 それに続いて国家経
 済のすべての分野で根本的な変革を行い、 社会主義市場経済が誕生、 確立、 完
 成への道を歩み始めた。 外国貿易体制も、 以前の高度に中央集権化された計画
 管理制度から完全に変化をとげ、 基本的に社会主義市場経済と国際貿易慣行に
 かなった新しいタイプの外国貿易体制ができた。 外国貿易に対する政府の介入
 も大幅に減り、 主として経済的・法的手段、 為替レート、 利率などのマクロ経
 済の管理手段を利用し、 また、 ミクロ経済の管理手段も取り入れた外国貿易体
 制へと次第に移行した。 主要な外国貿易の実行組織も数を増し、 それらが自己
 の利益と損失に責任をもち、 実行手法を改善していった。 政府は変動為替相場
 制度を採用し、 外国貿易は強制執行から指導による計画貿易へと変化した。 輸
 出入品の国内価格は基本的に市場で調整された。 輸出入品の流通のほとんどは
 外国貿易事業体にまかされるようになった。 この時期には、 食肉製品の輸出入
 も改革・開放の時代に合わせて発展した。 

3 食肉の輸出方針

  改革・開放政策の採用以降、 政府による外国貿易のマクロ管理は根本的に変
 化した。 家畜及び食肉製品の輸出は、 香港とマカオを除くすべての国と地域に
 対して量的な制限が撤廃された。 香港とマカオへの輸出は数量割当と免許制度
 によって管理されている。 

  社会主義市場経済が次第に確立、 改善されるにつれて、 いくつかの外国貿易
 管理の政策と方法が国民経済の発展のニーズに合わなくなり、 その中のいくつ
 かを調整する必要が生じた。 そこで、 国務院は輸出商品管理暫定手続きを承認
 して布告し、 輸出管理の原則となる規則を定めた。 この手続きに従って、 政府
 は93年から138種類の商品について数量割当と免許管理のみを行うことに
 なった。 中でも、 国際市場や特定の市場を独占していたり、 外国政府がわが国
 に輸出の自主規制を求めていたりする重要な輸出商品については、 政府が自主
 的に数量割当による規制を行うことになった。 そこで、 現在の政府による食肉
 製品の輸出政策は、 この原則に基づいて策定、 実行されている。 


 (1) 法的根拠

 輸出商品管理暫定手続きに従って、 政府は香港とマカオへの家畜及び食肉製品
の輸出について自主的な数量割当を行っている。 その対象となっている8つの主
要な品目は次の通りである:生体豚、 生体牛、 生体羊、 生体家きん、 冷凍豚肉、 
冷凍牛肉、 冷凍羊肉、 冷凍家きん肉。 これらを香港とマカオ以外の国や地域に輸
出する場合は、 輸出会社は相手方のサインのある契約書のオリジナル・コピーを
添えて、 管轄の国家機関が指定した免許発行当局に輸出免許を申請する。 

 (2) 数量割当の決定と配分

 数量割当によって管理されている上記の家畜及び食肉製品については、 国際市
場の需給状況および国内市場の生産と需要の状況に基づいて、 国の外国貿易管理
機関が輸出の総量を決める。 

 数量割当の総量が決まったら、 対外経済貿易合作部 (MOFTEC) が、 数量割当の
利用状況と輸出商品の品質を参考にして地方の外国貿易当局に数量を割当てる。 
地方の外国貿易当局は、 その割当を関係する事業体に再配分する。 原則的に、 MO
FTECは行政的な手段でその再配分に介入することはない。 国の外国貿易管理機関
によって食肉の輸出を承認されている 「外国資本との合弁企業」 については、 MO
FTECは承認された輸出量に基づいた措置をとる。 

 (3) 輸出免許の管理

 香港とマカオへの食肉の輸出は数量割当だけでなく、 輸出免許制度によっても
規制されている。 広東省広州のMOFTEC監督官事務所は、 輸出会社が入手した数量
割当を基に、 香港とマカオへの食肉の輸出免許の発行を一元的に担当している。 
 他の地域への食肉の輸出については、 実施されている規制に従って、 輸出会社
が外国の会社と締結した契約書のオリジナル・コピーを添えて輸出免許を申請す
る。 この場合は量的な制限はない。 

 (4) 輸出商品の調整

 88年、 輸出会社間の調整業務を強化するために国務院の承認のもとに、 6つ
の輸出入商工会議所が次々に設立された。 各商工会議所は割り振られた業務責任
に従って、 外国貿易部門の輸入商品と輸出商品の調整を行うことになっているが、 
現在は輸出品の調整に重点が置かれている。 食肉輸出の調整は、 中国土畜産進出
口商会が担当している。 香港とマカオに供給されている食肉製品の特殊な状況を
考慮して、 同商会は、 現在、 主として冷凍鶏肉と冷凍兎肉の輸出を調整している。 

 (5)  「外国資本との合弁企業」 の食肉輸出

 中国が改革・開放政策を採る以前、 食肉製品の生産、 販売、 輸出は当時の経済
状況と管理構造に制約されて、 全国には大規模な家畜飼養農場や食肉加工場が存
在しなかった。 中国の食肉製品の発展は重視されず、 1人当たりの食肉消費量も
かなり少なかった。 

 国民の生活条件を改善し、 農民の所得向上を図るために、 政府は農業分野への
外国資本の導入を決定し、 畜産業発展の迅速化を図った。 関係国の政府の承認の
下に、 80年代から、 広東省、 深〓、 上海などの海岸部の都市に、 合弁会社、 外
国所有の会社及び合弁形態のいくつかの大規模な飼育農場が設立された。 それか
ら10年以上経過した現在、 これらの農場は一定の生産規模と加工部門を持つま
でに発展し、 輸出と商品供給に一定の成果をあげている。 これらの合弁会社等は
外国から優良個体を導入しての家畜の改良、 飼料の加工と生産、 製品の加工と輸
出、 企業経営などの面で中国の畜産業に貴重な経験をもたらし、 その発展と食肉
輸出の増加に貢献してきた。 

1) 食肉を生産する 「外国資本との合弁企業」 の審査と承認の手続き

 中国の外国貿易の規則に従って、 数量割当と免許によって規制される商品を生
産する外国との合弁企業の設立は、 外国貿易と経済協力を担当する部局の審査と
承認を受けなければならない。 食肉を生産する外国との合弁企業を設立する際に
は、 中国側のパートナーは規則に従ってそのプロジェクトの実現の可能性に関す
る調査報告書、 中国側と相手方の双方の資本信用証明書、 協力協定書、 生産と輸
出の規模に関する説明書などを地方の外国貿易担当局に提出しなければならない。 
地方の担当局はこれらの文書を審査し、 承認を求めるためにそれらをMOFTECに提
出する。 MOFTECは国内市場と海外市場の需給状況を基にそれらの文書を審査して
承認し、 事業開始の期限、 生産の規模、輸出の規模、その他の事項を決定する。 承
認された企業は、 設立後、 中国政府の該当法令と規則に従って事業を展開しなけ
ればならない。 

2) 食肉を生産する 「外国資本との合弁企業」 の審査と承認の手続き

 現在、 中国には、 外国貿易と経済協力を担当する部局によって承認された食肉
を生産する外国資本との合弁企業が40社以上存在する。 それらが取り扱ってい
る主要な商品は次の通りである:生体豚、 生体家きん、 生体鳩、 冷凍牛肉、 冷凍
豚肉、 冷凍羊肉、 冷凍家きん肉等

 主要輸出市場は香港、 マカオ、 日本等である。 これらの企業のほとんどは80
年代に承認されたが、 輸出市場が限られていること、 外国市場の輸入能力には限
界があることから90年代に入ってからは、この種の 「外国資本との合弁企業」の
承認件数は大幅に減っている。 

 (6) 中国が改革・開放政策を実施して以来、 食肉製品の生産が増加するにつれ
 て、 輸出もある程度増加した。 過去10年間、 各レベルの国の管理機関は、 食
 肉製品の品質を改善し、 衛生監督と検査を強化するために、 一連の効果的な管
 理規則と方策を設定し、 家畜の優良品種と先端的な衛生検査機器を外国から導
 入した。 また、 食肉製品の品質改善には積極的に関与し、 食肉製品の衛生条件
 を強化してきている。 

4 食肉の輸入方針

 (1) 中国の樹立以来、 政府は食肉製品の輸入の手続きに国際的な慣行を採用し
  ている。 すなわち、 自由貿易の観点から数量制限を設けていない。 外国貿易
  と経済協力を担当する部局によって承認された、 食肉処理加工を行う権利の
  あるすべての会社は、 食肉を輸入することができ、 他の者もそれらの会社に
  食肉輸入の代行を依頼することができる。 食肉生産を行う権利のある 「外国
  資本との合弁企業」 は、 関税を納付すれば承認された事業の範囲と規模に従
  って食肉を輸入することができる。 また、 すべての食肉製品は、 家畜の検疫
  と工場の検査及び食品衛生規則を満たさなければならない。 

 (2) 中国の輸入関税に関する規則に基づいて、 中国は食肉製品に対して、 特恵
  関税と一般関税の二種類の輸入関税を課している。 特恵関税は中国と最恵国 
  (MFN) 条項を含む貿易協定及び条約を締結している国から輸入される食肉に
  適用され、 一般関税はそれ以外の国から輸入される食肉に適用される。 

 (3) 国が布告した関税規定に従って、 現在、 関税番号01.01から01.0
  6までの生体家畜については、 関税がゼロの優良繁殖畜を除いて、 輸入関税
  が課される。 関税率は次の通りである。 生体牛:特恵関税率12%、 一般関
  税率30%、 生体豚・生体羊・生体家きん:特恵関税率12%、 一般関税率
  50%。 

 税関に申告する際、 すべての承認企業は税関に監督されるほか、 家畜の検疫と
工場の検査を受ける。 関税番号02. 01から02. 10までの食肉と食用に
カットされた内臓にも特恵関税と一般関税がある。 02. 01から02. 02
までの生鮮、 冷蔵、 冷凍の牛肉の特恵関税率は50%、 一般関税率は70%であ
る。 02. 03から02. 09までの生鮮、 冷蔵、 冷凍の豚肉、 羊肉、 家きん
肉、 それらの食用にカットされた内臓の特恵関税率は45%、 一般関税率は70
%である。 02. 10の食肉製品の特恵関税率は55% (0210. 2000
の牛肉は例外で60%) 、 一般関税率は80%である。 02.01から02.1
0までの食肉の輸入の権利のある企業は、 税関に申告する際には税関の監督を受
けなければならず、 同時に、 家畜の検疫と工場の検査を受けなければならない。 

 中国政府はすでにいくつかの農産物について輸入関税を引き下げている。 再調
整された関税率に従って、 政府は18品目の輸入関税を段階的に引き下げてきた。 

 ウルグアイ・ラウンドで合意に達した農産物協定の規定に従って、 すべての締
約国は農産物の輸入に対する非関税障壁を撤廃し、 輸入農産物に対する輸入関税
を段階的に引き下げ、 同時に国内農産物に対する輸出補助金を徐々に廃止しなけ
ればならない。 中国の食肉の輸出入に関係する現行の管理規則は、 基本的に、 こ
の協定の原則に合致している。 中国は、 国際貿易機関 (WTO)に加盟した後、 関係
する権利を享受し、 その規則に基づく責務を負う。 


III 中国の食肉製品の輸出入と商品検査


 どんな国や地域も、 国民や住民の健康を守るために食肉製品の輸出入のための
一連の効果的な衛生検査基準を設け、 関係規則とそれらの実施方法を作成してそ
の作業のプロセスや実施状況を監視する任務を政府関係機関に割り当てている。 
中国も例外ではない。 国民の健康を確実に守り、 畜産業の円滑な発展を図るとと
もに、 国際貿易慣行の原則を順守するために、 政府は厳格に適用される衛生の監
視と検査制度を設けている。 


1 中国の食品 (食肉製品) の輸出に関する衛生監視と検査

 (1) 法的根拠

  「食品衛生に関する中国の法律」 は、 すべての輸出用食品 (食肉を含む) は国
家進出口商品検験局 (SACI) とその管轄下の地方商品検験局 (CCIB) による衛生
検査と監視に従わなければならず、 税関はCCIBが発行した証明書に照らして輸出
用食品を検査し、 輸出を許可しなければならないと定めている。 

 84年、 SACIと衛生部は、 輸出用食品 (食肉を含む) の衛生検査と監視を強化
し、 食品の汚染と人体に有害な成分の混入を防止するために、 合同で 「輸出用食
品の衛生検査に関する中国の規則」 を定めた。 これは、 すべての輸出用食品 (食
肉を含む) は検査を受けなければならない、 と明確に規定している。 検査を受け
なかったり、 基準以下と判定された食品は、 一切、 輸出が許可されない。 検査を
受けてCCIBの基準を満たし、 証明書を交付された輸出用食品は、 証明書の有効期
限内に輸出用として船積みされなければならない。 また、 証明書の有効期限が過
ぎた食品については、 再検査を行わなければならない。 

 (2) CCIBの主な機能

1) 輸出用食品の加工場、と畜場、 冷蔵倉庫、 倉庫 (以下、 輸出用食品の工場・倉
 庫と称する) で衛生の監視と検査を行う。 

2) 輸出用食品の品質の検査のための基準と関係規定を作成して布告し、それらの
 執行を監視する。 

3) 輸出用食品の工場・倉庫の統一的な登録方法を管理する。 

 (3) 中国の輸出用食品 (食肉製品) の衛生免許を入手する手続き

 中国で輸出用食品の生産、 加工、 と畜、 貯蔵に従事しているすべての工場・倉
庫は、 該当規定に従って、 まず、 地元の保健・衛生当局から衛生免許を入手した
後、 生産を担当する担当局の承認を取得し、 CCIBに登録を申請しなければならな
い。 CCIBによる審査を受けた後、  「輸出用食品の工場・倉庫の衛生に関する基本
要件」 または 「輸出用食品の工場・倉庫の登録細則」 に規定されている環境、 設
備、 原材料、 副材料、 加工と作業員、 包装、 貯蔵、 輸送、 検査の衛生要件を満た
していると認められた工場・倉庫には、 個別に登録証明書が交付されるか、 ある
いは登録コード番号が与えられる。 外国での登録を申請しようとする工場・倉庫
は、 輸入国の関係保健当局が規定した衛生と獣医学の要件を満たさなければなら
ない。 外国政府への登録は、 SACIが担当する。 工場・倉庫は、 登録証明書や登録
コード番号を持たずに輸出用食品の生産、 加工、 貯蔵を行ってはならない。 輸出
相手国に登録申請したものの、 番号を入手できなかった工場・倉庫は、 その国に
輸出する食品の生産や貯蔵を行ってはならない。 

 (4) 登録された輸出用食品の工場・倉庫の追跡監視の強化

 CCIBは、 登録証明書における3年の有効期限内の任意に定めた時点で、 登録工
場・倉庫の食品の生産、 貯蔵、 輸出の無作為検査を行っている。 登録工場・倉庫
が衛生要件を遵守するのを怠っていると判断した際には、 CCIBは、 事態の程度に
応じた警告、 決められた期限内の改善の命令、 登録証明書の取り消しを行う。 ま
た、 輸入国に登録している工場・倉庫が衛生要件を満たしていないと判断した際
には、 それらの工場・倉庫には当該輸入国への食品の輸出を停止する命令が出さ
れる。 それらの工場・倉庫は、 改善によって、 衛生の規則や要件を満たしたと証
明された場合にのみ輸出を再開できる。 

 CCIBは、 必要な場合は、 基準を満たしていない食品の工場からの出荷を防止す
るために、 生産と加工が該当する規定、 基準、 契約条件に従って行われているか
を監視し、 輸出用食品のサンプル検査を行うために、 加工場に品質監視官を常駐
させることができる。 


2 中国の食肉製品輸入に関する検疫検査方針

 (1) 中国の食肉製品輸入に関する検疫検査

1) 法的根拠

 輸入された食肉製品の検疫の法的根拠は、  「輸出入の動物・植物検査に関する
中国の法律」 とその施行規則である。 

 検疫検査法とその施行規則に基づいて、 中国農業部が輸入食肉製品の検査を監
督しており、 国家動物・植物検疫検査部が管轄する全国のすべての開港場にある
動物・植物検疫検査事務所が輸入食肉製品の検疫を実行し、 食肉製品の検疫監視
を行っている。 

2) 輸入食肉製品の検疫検査手続き

a 検疫検査法第10条および施行規則第9〜11条に基づいて、 食肉製品を輸
  入する権利のあるすべての輸入業者は、 食肉製品を輸入する際には、 輸入契
  約や協定を結ぶ前に国家動物・植物検疫検査部に輸入免許を申請しなければ
  ならない。 輸入契約や協定を締結する際には、 それらの輸入業者は、 中国の
  検疫検査要件を明確に記載しなければならず、 また、 輸出国の管轄当局が発
  行した検疫検査証明書 (衛生証明書) を所持していなければならない。 

b 中国に輸出される食肉製品は、 輸出国の中央政府の関係当局に登録しており、 
  その長期の監督の下にある企業が輸出したものでなければならず、 その検疫
  検査は家畜のと畜の前後に当局の獣医師によって行われなければならない。 
  食肉製品はコンテナに積載して、 その登録企業から中国の港に直接輸送しな
  ければならず、 輸送の間、 コンテナに付された鉛の封印を開けてはならない。 
  また、 輸出国が発行した正式の検疫証明書には、 コンテナの番号と鉛の封印
  の番号、 登録企業の正式名称、 所在地、 登録番号が記載されていなければな
  らない。 中国の港に到着した際、 その食肉製品に輸入業者の免許証と輸出業
  者の検疫証明書が添付されていなかった際には、 施行規則第19条に従って、 
  それらの食肉製品は港湾動物・植物検疫事務所によって返送されるか、 ある
  いは廃棄される。 

c 中国は、 流行疾病を防ぐ上で良好な環境にあり、 十分な獣医学的な検疫検査
  制度を持っている。 中国は、 法的制度がある国や地域からの港湾動物・植物
  検疫検査事務所に登録されているホテルやレストランや、 加工して再輸出し
  たり、 国内市場で調理して販売したりする登録企業への輸出を認めている。 
  しかしながら、 中国で直接販売を目的とした、 生肉の輸入は認めていない。 

 検疫検査法第5条の規定に基づいて、 中国は流行疾病が発生している国や地域
からの食肉の輸入を禁止している。 例えば、 牛海綿状脳症 (BSE)、 スクレイピー、 
牛熱、 牛パスツレラ病、 アフリカ豚コレラ、 豚コレラ、 家禽ペスト、 ニューカッ
スル病、 豚水疱病などを含む流行疾病が発生している国や地域からの食肉や食肉
製品の輸入を禁じている。 


3 中国の輸入食品 (食肉) の衛生基準に関する方針

 (1) 法的根拠

  「食品衛生に関する中国の法律」 は、 すべての種類の食品に適用される。 中国
の領土内で食品の生産やその事業に関係しているすべての事業体は、 この法律に
従わなければならない。 

 (2) 中国の食品衛生監視と法令執行機関

  「食品衛生に関する中国の法律」 に基づく、 すべてのレベルの衛生監督部門が
その主要な執行機関であり、 国務院の衛生管理部門 (衛生部) が食品衛生監視と
管理の作業を担当している。 また、 省、 市、 郡レベルの衛生管理機関がそれぞれ
の地域の衛生監視と管理の作業を担当している。 さらに、 輸入食品のための港湾
衛生監視検査機関が、 国の衛生基準と衛生管理規則に従って輸入食品の監視と検
査を行っている。 
 
(3) 中国の食品衛生基準の設定と実施

1)  「食品衛生に関する中国の法律」 に基づいて、国と地方の衛生管理当局が食品
 衛生基準を定めて布告している。 国の食品衛生基準の検査組織は 「国家食品衛
 生標準技術委員会」であり、 実際の施行組織は 「衛生部食品衛生監督検験所」で、 
 ここが食品衛生基準と衛生指標の説明を担当している。 

2) 中国で食品の生産と関係事業に従事する企業は、まず、 所定の衛生管理当局に
 申請して、 検査に合格した後、 食品衛生許可書の発行を受ける。 企業はこの食
 品衛生許可書がある場合にのみ、 他の食品生産承認手続きに入ることができる。 
 これがなければ事業を行うことは認められない。 すべての衛生管理当局は、 該
 当する食品衛生の法令と規則および基準に従って食品生産と関係事業のプロセ
 スの定期的な現場視察と検査を行わなければならず、 定期または不定期に検査
 用の食品サンプルを収集しなければならない。 検査に不合格の企業は、 法律に
 基づいて関係当局から処罰される。 

  衛生部は、 健康食品、 新しい材料の食品、 新しいタイプの食品添加物、 新し
 いタイプの食品包装材と容器、 国の食品衛生基準がない輸入食品の審査と承認
 を担当している。 実際の作業は、 衛生部食品衛生鑑定委員会が行っている。 国
 の衛生基準がない輸入食品の審査と承認については、 まず、 その輸入食品を扱
 った港湾衛生監視検査所が衛生部に報告する。 衛生部がその報告書を検討して、 
 そこで承認された場合にだけ、 国内に入れることができる。 国の衛生基準のあ
 る輸入食品については、 その輸入食品を扱った港湾衛生監視検査所が国の衛生
 基準に従って検査を行う。 

3) 食肉製品の衛生基準

  現行の食肉製品の衛生基準には、 次の製品を含む15の製品の衛生基準があ
 る:豚肉、 牛、 羊、 兎肉、 生鮮 (冷凍) 家きん肉、 食肉ソーセージ、 ハム、 缶
 詰の食肉、 塩漬けのソーセージ。 

  上記の基準はすべて、 物理的・化学的指標 (水分含有量、 亜硝酸、 食品添加
 物など) と微生物指標 (細菌数、 大腸菌数など) を明記している。 

  食肉製品の生産と加工を規制するために、 衛生部は食肉および食肉製品の衛
 生管理規則を作成して、 と畜、 生産、 加工、 貯蔵、 輸送、 販売など、 食肉およ
 び食肉製品に関係するすべての注意すべき事柄を明確に規定している。 

 中国の社会主義市場経済の確立に伴って、 中国の対外貿易は国家経済の中で重
要な役割を果たしている。 国民の生活水準は継続的に向上し、 食肉の生産と消費
が増加するに伴って食肉製品の質に対する国民の要求はますます高いものとなる。 
従って、 私は、 国際食肉事務局が北京で開催した世界食肉会議が、 中国の食肉生
産と輸出入を積極的に後押しし、 中国と外国の協力関係を強化するものと確信し
ている。 

 次に、 対外経済貿易合作部の傘下企業であり、 食糧の輸出入を直営している中
国量油食品進出口公司副社長の〓忠人氏は、 貿易をリードする企業の立場から食
糧の輸出入の現状を以下のように述べた。 

 中国は、 古くから家畜の飼養、 食肉消費とそれらの貿易で発展した国の1つで
ある。 家畜や家きんが、 以前から食肉用に飼養されていたため、 唐・宋王朝時代、 
既に、 食肉は市場の主要商品になっていた。 千年に及ぶ封建時代、 家畜の飼養は、 
農業の副業の1つに過ぎなかったため、 その事業規模や生産量は、 非常に限られ
ていた。 

 しかしながら、 今世紀初頭には、 羊や豚などの古くから飼養されていた家畜の
頭数が急増した。 その後、 近代的な食肉処理・輸送・包装方法が導入されたこと
により、 中国は世界の食肉市場に、 いち早く参入した。 そして中国の建国以来、 
特に79年以降から、 食肉は農産物貿易の主要商品となっている。 税関の統計に
よると、 現在、 食肉の年間輸出量は30万〜50万トンである。 96年は、 豚肉
と家きん肉が食肉総生産量のそれぞれ68%と18%を占め、 家きん肉のうち、 
鶏肉が70%を占めている。 豚肉と鶏肉は、 中国の主要輸出食肉となっている。 

 生体豚、 豚肉とその関連製品 (缶詰等) は、 常時、 中国から大量に輸出されて
いる。 73年における中国の外貨獲得の10%は、 生体豚と豚肉の輸出によるも
のである。 輸出商品の多様化により、 豚肉のシェアは下降傾向にあるが、 全体に
占めるシェアは依然として高く、 87年は5. 3億米ドル、 92年は5. 03
億米ドル、 93年は4. 9億米ドル、 96年は5. 78億米ドルとほぼ安定し
ている。 50年代の主な輸出先は旧ソ連であったが、 60年代には欧米諸国にも
輸出するようになった。 中国は、 これまでに欧州とアジアの20数ヵ国に輸出し
ているが、 アジアと旧ソ連がその50〜60%を占め、 シンガポールと香港への
輸出も増えている。 

 鶏肉も中国の主要な輸出食肉である。 中国が改革・開放政策を実施し、 優良な
品種、 高品質の飼料、 最新機器、 高度な技術を導入して以来、 鶏肉業界は年間平
均で20%の割合で急成長しており、 米国に次ぐ世界第2位の生産量を誇ってい
る。 鶏肉業界の急成長により、 鶏肉の輸出量は、 91年は前年度比で8%増の9
万3千トン、 93年は13万5千トン、 96年は39万トンに伸びている。 鶏肉
の主な輸出先は、 欧州と日本である。 安価な労働力と便利な輸送システムにより、 
中国産鶏肉は日本市場でも優位に立ち、 13%のシェアを確保している。 

 現在、 中国は世界最大の食肉生産国である。 96年の総生産量は約6千万トン
で、 90年代初頭の数年間における世界の総生産の約1/3に当る。 しかしなが
ら、 一人当りの食肉消費量は、 ようやく世界水準に追いついたばかりで、 外国か
らの食肉輸入量は世界全体の一部に過ぎない。 このため、 中国の食肉産業は、 生
産・消費と輸出入の両面で大きな可能性を秘めており、 持続的で堅実な経済成長
の基盤となっている。 中国の食肉産業は、 国内経済の成長と共に、 将来もさらに
発展していくであろう。 

 第1に、 中国の食肉の輸出入は、 国内生産と密接な関係にある。 中国の食肉生
産は、 長年低迷していたが、 80年代初頭から急増し、 これまでにない成長を遂
げた。 78年の食肉生産量は950万トンであったが、 89年には2千6百万ト
ン、 96年には約6千万トンに増加した。 96年は78年の530%増、 89年
の130%増となったが、 同時期に世界の食肉生産量は30%の増加に止った。 
国内の生産量が増加すれば、 食肉の輸出が拡大する。 

 第2に、 中国の食肉の輸出入は、 国内の消費に大きく関係している。 中国は人
口13億人を擁する広大な国であり、 主に自給で食肉を賄っているためである。 
国民の生活水準が上がり、 購買力が伸びるにつれ、 食肉に対する需要も拡大する
であろう。 また、 中国政府は、 農業の発展を主要な政策の1つとして取り組んで
いるため、 今後も食肉の生産量は着実に増加し、 食肉の貿易も拡大するであろう。 

 第3に、 中国の食肉の輸出入は、 国内の流通に結びついていなければならない。 
改革・開放政策開始後、 食肉処理業界は、 12におよぶ主要食糧の処理業界中、 
穀物処理部門に次いで第2位にランクされた。 初期処理から最終処理に至るまで、 
処理過程が多くなり、 品質も向上している。 多くの商品が高いブランド力を持ち、 
国内外で好評を博している。 政府による貿易体制改革に伴い、 全国の貿易機関も、 
輸出を目的とした一連の食肉生産基盤を確立した。 もちろん、 貿易関係者の努力
だけでは不十分である。 国内外の双方が恩恵を受けられるよう、 中国政府は国内
と外国向けの部署を一括して整理し、 生産と販路の拡大に努めるべきである。 こ
うした努力なしには、 中国の食肉業界は、 国際的な競争力を伸ばし、 経済を拡大
することはできない。 

 第4に、 中国の食肉の輸出入は、 国際的な市場慣行を準拠して行わなければな
らない。 初めに、 国際的な食肉貿易慣行に注目すべきである。 中国は、 まだ世界
家畜機構にも世界貿易機関にも加盟していないので、 制約事項が多く、 検疫が厳
しい市場に参入することは困難である。 次に、 中国は市場に受け入れられる、 高
品質の製品を生産しなくてはならない。 さらに、 新しい市場を開拓する必要があ
る。 現在、 中国の主な取引相手は、 アジア諸国である。 かつて最大の相手先であ
った旧ソ連は、 91年以降、 まだ経済が完全には回復していないため、 輸出規模
を拡大するためには、 新規市場開拓が不可欠である。 

 第5に、 中国は食肉の輸出を拡大する一方、 輸入も強化しなければらない。 中
国は、 国内の膨大な需要を、 ほぼ国産品だけで賄っている。 中国が必要とする食
肉の全てを生産できる国は、 世界中どこにも存在しない。 中国が食肉を輸入する
のは、 国民に多様な食肉製品を提供し、 選択の余地を与え、 食肉消費量を増やす
ためである。 

 我々は、 中国の食肉生産とその貿易に関して、 未来は明るいと確信している。 
中国は改革と市場経済の発展に伴い、 食肉の輸出を一層拡大するであろう。


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