動きはじめた牛肉の食味保証制度 (豪州)




食味保証制度のトライアル開始

 消費者に対して牛肉の 「おいしさ」 を保証する食味保証制度 (EQA:Eating Qua
lity Assurance) のトライアルが、 11月上旬より、 クインズランド州の州都ブ
リスベンで、 6ヶ月間の予定で実施されている。 このトライアルは、  「おいしさ」 
の客観的な指標となる新格付基準 (及びその検討組織の名称) である豪州食肉標
準 (MSA:Meat Standards Australia) を冠し、 「MSAパイロット牛肉格付プログラ
ム」 と称されている。 

 EQAは、 その導入計画が96年末に発表されて以来、 「おいしさ」 の指標となる
新たな格付基準が専門家、 有識者で構成された推進委員会 (現 MSA) で検討され
てきた。 

 その結果、 「3つ星」 を基準とし、より「おいしい」 牛肉には、 「4つ星」 、「5つ
星」 という表記を行う新格付基準の原案が97年5月に公表された。 

 新食味保証制度の実施については、 当初、 原案をさらに検討・修正の上、 同年
9月に商業的トライアルの実施、 10月に全国展開という予定であった。 しかし、 
当該原案は、 品種規定を設けており、 高級グレードになるに従い、 熱帯品種の血
液を厳しく制限するとしていたことから、 気候的に一定水準の熱帯品種の血液を
必要とするクインズランド州を中心とした地域の生産者や、 熱帯品種の登録協会
などから反発を受け、 調整に手間取り、 当初より遅れたトライアルの開始となっ
た。 


消費者の反応は良好

 しかしながら、 産みの苦しみを味わった新食味保証制度のトライアルに対する
消費者の反応は良好であると伝えられている。 

 4店舗がトライアルに参加している大手スーパーの食肉担当者は、 「3つ星」よ
り価格は高くとも、  「4つ星」 、  「5つ星」 を求める消費者が予想以上に多いと
語っている。 また、MSAは、 店頭での消費者アンケート調査を実施しているが、 こ
れまでのところ、 消費者は 「3つ星」 を100点満点の48〜64点、  「4つ星」 
を64〜80点、  「5つ星」 を80点以上と評価しており、 新格付基準が消費者
にとってわかり易く、 さらに正確な 「おいしさ」 の指標を提供していることがう
かがわれる。 


販売拡大に貢献するか、 今後の動きに注目

 この新食味保証制度は、 まだ検討の余地を残す暫定的なものではあるが、 放牧
主体で、 さらに気候も大きく異なる豪州の牛肉生産の宿命とも言える品質の不安
定性に起因する消費者の牛肉離れに歯止めをかけ、 さらに、 国際市場での販売拡
大の武器の1つとなるか、 今後が注目される。 



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