豪州フィードロット業界、 早くも食肉業界新団体に注文




ALFAは穀物肥育牛生産者の利益に沿うよう誘導

 豪州の食肉関係団体 (特殊法人) の再編については、 新組織の名称が発表され
るなど、 本年初頭とされる新組織による事業開始を目指して、 作業が進められて
きたが、 豪州フィードロット協会 (ALFA) は、 早くも新組織による事業展開につ
いて、 財源負担者である穀物肥育牛生産者の利益に沿うよう誘導していくとする
方針を打ち出した。 

 現在、 具体的にALFAが見直しを指摘している事業は、 現行の豪州食肉畜産公社 
(AMLC)の主要な事業で予算額のなかでも大きな比重を占める需要拡大事業である。 
特に、 豪州国内での 「リーンビーフ (赤身牛肉) 」 や日本での 「オージービーフ」 
のような総称的なキャンペーンについては、 前者は穀物肥育牛肉の特性に反する
もの、 また後者は牧草肥育牛肉をも含むことからフィードロット業界への利益が
低いとして、 ALFAは従来から疑問を呈していた。 

 ALFAのフォスター会長は、 今後、 包括総称的なキャンペーンは縮小し、 個別の
ブランドを強化する方向での需要拡大を、 また試験研究事業についてはよりフィ
ードロットの経営に密着したものを厳選していくと語っている。 


穀物肥育牛に関して生じた課徴金はALFAに支出配分の決定権

 AMLCや食肉研究公社(MRC) など現行の食肉団体の運営財源となっていた生産者
課徴金は、 穀物肥育や牧草肥育の別を問わず、 一律にプールされ、 各種の事業に
支出されていたが、 業界再編にともない、 今後、 課徴金のうち穀物肥育牛に関し
て生じた分はALFAに支出配分の決定権が与えられ、 新組織の事業にALFAの意向を
より直接的に反映させることが可能となった。 

 このため、 AMLCなどによる従来の活動に以前より不満を表明していたALFAは、 
いち早く方針を表明することで、 他の生産者団体への牽制を狙ったものとみられ
る。 


業界関係者それぞれの思惑に注目

 一方、 新組織の財源については、 パッカーの自主拠出による資金協力を大きく
は期待できないため、 3分の2程度に縮小される見込みであり、 ALFAの主張のい
かんにかかわらず、 そもそも新組織の事業活動はこれまでに比べ大きく縮小せざ
るを得ない状況となっている。 そのような予算状況下で、 業界内の足並みが揃わ
なければ、 新組織による効果的な事業運営に支障をきたすことも予想されるだけ
に、 業界関係者のそれぞれの思惑が新組織設立までにどのような形で集約される
のか注目される。 


元のページに戻る