96年の食肉生産は二けた増を維持 (中国)




食肉生産は対前年比12%の伸び

 国家統計局がこのほど、 公表した中国統計年鑑によると、 96年の食肉の総生
産量は5, 915万トン、 前年比12. 5%増となり、 増大し続ける需要に支
えられて4年連続で二けたの伸びを維持した。 91年の総生産量3,144万ト
ンから、 実に5年間で倍増に近いペースで増加したことになる。 

  「第九次五ヵ年計画 (1996〜2000年) 」 の食肉に関する長期目標値は
5,800万トンに設定されており、 その初年度で早くも目標を達成したことは、 
中国の旺盛な増産意欲を如実に表すものとなっている。 

中国の食肉生産量の推移

 資料:中国統計年鑑


すべての食肉で伸び率が鈍化

 中国の食肉生産は、 改革・開放政策に後押しされた所得の向上に伴い、 年々高
まる需要を反映して順調な伸びを示してきた。 特に、 94年から95年にかけて
は2年連続で前年比17%の伸びを記録して、 近年では最も食肉生産に拍車がか
かった状況となっていた。 しかしながら、 96年の伸びが12%台に止まったこ
とは、 近年の食肉増産があまりにも急激であったことへの反動や、 生産急増の影
響で全体の約7割を占める豚肉の価格が、 長期間軟化したことの影響が表れたも
のと考えられる。 

 食肉の種類別に生産動向をみると、 最も主要な食肉である豚肉の伸びが遂に前
年の伸びを下回った。 近年、 増加の伸びが一際著しかった牛肉および家きん肉に
ついては、 既に95年には伸び率が前年値を下回っていることから、 すべての食
肉について生産増が一応ピークを過ぎ、 安定成長局面を迎えたとの見方もできる 
(全体に占めるシェアは低いものの、 羊肉についても豚肉同様、96年の伸びが前
年を下回った) 。 


豚肉のシェアが年々低下

 次に食肉別の構成シェアをみると、 豚肉の全食肉生産に占めるシェアは、 91
年の78. 0%から96年には68. 3%に低下した。 これに対して、 牛肉、 
羊肉および家きん肉は僅かではあるものの年々そのシェアを増加させている。 

 豚肉がシェアを低下させている背景としては、 飼料に使用される穀物が食用と
競合することが挙げられる。 政府は、 従来未利用であった作物茎などの残滓を飼
料として有効利用する政策を採っており、 今後は、 これらを用いた飼養に適した
牛および羊の飼養頭数が増えていくことが確実であるため、 豚肉シェアの縮小は、 
徐々にではあるが今後も続くものと思われる。 政府は 「第九次五ヵ年計画」 の中
で、 2000年までに豚肉の構成比を66.6%にまで引き下げることとしてい
るが、 その達成は確実とみられている。 



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