飼料原料の輸入課徴金を引き下げへ (タイ)



 タイ政府は、 昨年来のバーツ下落による輸入飼料原料価格の上昇により、 窮地
に陥っている国内畜産業および飼料製造業の救済を図るため、 98年から飼料原
料用のトウモロコシ、 魚粉の輸入課徴金を引き下げることとした。 業界は今回の
措置を歓迎しているものの、 飼料原料に係るすべての関税を撤廃することを併せ
て求めている。 

飼料原料の輸入価格が高騰

 飼料原料の輸入価格は、 タイバーツの為替制度が管理フロート制に移行となっ
た昨年7月以降、 大きく上昇している。 例えば、 7月以前に1kg当たり9.3バ
ーツであった大豆ミールおよび16バーツであった魚粉の市中相場は、 同11月
には、 それぞれ11.7バーツおよび20.5バーツに跳ね上がった。 また、 1
kg当たり2.7バーツであったトウモロコシの輸入価格(FOB価格) も、 4.3バ
ーツへと大幅に高騰した。 


トウモロコシ等の輸入課徴金を撤廃

 このため、 タイ商業省は、 窮地に陥っている国内畜産業および飼料製造業の救
済を図るため、 98年から飼料原料用のトウモロコシおよび魚粉について、 トン
当たり180バーツおよび同350バーツの輸入課徴金を撤廃することとした。 
ただし、 大豆ミールの関税率は5%に据え置かれる。 これは、 昨年、 大豆ミール
の関税率が15%から10%に引き下げられ、 鶏肉輸出不振の打開等を図るべく、 
期中において更に5%にまで引き下げられた経緯があるからである。 

 また、 60%以上の蛋白質を含有する魚粉の関税についても、 昨年、 輸入課徴
金をトン当たり1,400バーツから350バーツに引き下げる代償として、 6
%から15%に引き上げた経緯があるため、 そのまま据え置かれることとなった。 


関税引下げによる歳入不足を懸念

 一方、 輸入飼料原料の関税については、 当初、 98年から引き下げ又は廃止さ
れるものと見込まれていた。 しかし、 バーツ下落に伴う輸入の減少によって関税
収入が不足することを懸念する大蔵省と、 国内の飼料原料生産農家の保護を唱え
る農業協同組合省が、 関税の引き下げによる飼料製造コスト等の低減を主張する
商業省を押し切る形となった。 


トウモロコシの関税割当てを実施

 飼料原料の需要は年々増加しており、 政府の需給見通しによると、 98年には
前年比3.8%増の1千190万トンに達するとされている。 このうち、 トウモ
ロコシは同1. 6%増の470万トン、 大豆ミールは同3. 9%増の150万
トン、 魚粉は同6%増の90万トンとされている。 一方、 98年のトウモロコシ、 
大豆ミールおよび魚粉の国内生産量は、 それぞれ420万トン、 70万トンおよ
び50万トンになると見込まれている。 このため、 政府は、 55万1千トンの不
足が見込まれるトウモロコシについて、 3月1日から6月末までを輸入期間とす
る30万トンの関税割当て (関税0%) を行い、 これでも不足する場合には、 追
加割当てを行う予定である。 

 業界は今回の措置を歓迎しているものの、 通貨タイバーツの下落の影響による
生産コストの削減を図るため、 すべての飼料原料について関税の撤廃を求めてい
る。 



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