ポスト鶏肉を目指すタイ豚肉産業



 タイの豚肉産業は、 豚生産加工輸出協会の新設、 衛生的なと畜場の整備など着
々と準備を重ね、 ポスト鶏肉を目指してアジア地域向け輸出拡大に努めている。 
しかし、 豚肉輸出拡大には、 口蹄疫の撲滅、 衛生面の改善など多くの解決すべき
問題が山積している。 

輸出量は現状では僅かな割合

 タイの豚肉生産量は、 と畜頭数970万頭、 枝肉生産量70万トンである。 た
だし、 輸出数量は、 現状では生産量の0.1%にも満たないほど僅かな割合であ
り、 輸出先は、 主に、 中国、 ラオス、 カンボジアとなっている。 こうした中で、 
豚肉生産の先進地域においては、 養豚農家が、 生産性および肉質の向上を図るべ
く新技術の導入を積極的に行うなど、 前向きな姿勢を示しつつある。 


政府、 業界が輸出計画を推進

 一方、 タイの豚肉業界は、 シンガポール、 香港、 日本などのアジア地域への豚
肉の輸出拡大を図るべく、 着々と準備を進めている。 この一環として、 先頃、 豚
生産加工輸出協会を設立した。 さらに、 現在、 新たなと畜場も建設中であり、 こ
れが完成すると1日当たり1, 600頭のと畜が実現する。 また、 タイ政府は、 
衛生面においても対策を講じており、 口蹄疫等の疾病の清浄化が進み、 かつ、 豚
肉輸出に利便である東部海岸地域を非汚染地域と定めた。 さらに、 同地域に輸出
用豚肉を生産するための産業団地の造成を進め、 冷凍、 冷蔵、 加工処理施設、 衛
生検査所などを設置する計画を進めている。 


解決すべき課題が山積

 しかし、 タイは、 日本の法規上偶蹄類動物およびその肉の輸入禁止地域に指定
されており、 豚肉などの対日輸出はできない状況となっている。 また、 衛生面に
関しては、 豚舎、 と畜場、 加工施設などの整備も一部のみに限られており、 国際
的な衛生基準から比較すると、 全体的にはかなり立ち遅れている。 また、 割高な
生産コストの削減、 輸出向け豚肉調製品の開発など、 輸出拡大までにはかなりの
解決すべき問題が山積している。 このため、 タイ政府は、 先に日本で開催された
日泰経済会議において、 加熱処理豚肉の衛生条件の緩和および豚肉調製品の関税
の引き下げを要請するなど、 輸出拡大に向けた努力を続けている。 



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