米国産鶏肉等の安全性を香港でアピール (米国)




新型インフルエンザの影響で懸念される鶏肉等の消費減退

 昨年、 12月、 香港で発見された新型のA型インフルエンザ(H5N1) の影響で、 
香港では約140万羽の鶏が処分されるとともに、 中国本土からの生体の鶏の搬
入が中止された。 鶏肉を摂取したことが原因でこの新型インフルエンザに感染し
た事例はないが、 今後、 消費者の鶏肉・鶏卵に対する不安感から、 香港の鶏肉等
の消費が減退し、 米国からの輸出に影響が及ぶことが強く懸念されている。 

 香港は、 米国にとってロシアに次ぐ鶏肉の輸出相手先であり、 最近の通貨下落
等の影響による景気の低迷などから、97年1〜9月の輸出量は約29万トン(可
食重量ベース) と前年同期を13%下回ったものの、 その輸出シェアは18.9
%となっており、 依然、 重要な市場のひとつである。 また、 香港の96年の貿易
統計によれば、 輸入冷凍鶏肉の69%が、 また、 冷凍七面鳥の77%が米国から
輸入されている。 


米国産鶏肉・鶏卵の安全性に関する広告宣伝を実施

 こうした状況を受けて、 アメリカ家禽鶏卵輸出協会(USAPEEC) は、 市場アクセ
ス計画(MAP) を利用した米国産鶏肉・鶏卵の安全性の広告宣伝を香港において実
施することを決定した。 

 今回の広告宣伝は、USAPEECのメンバーによるアンケートを参考にして迅速に実
施されるもので、 米国側がいかに強く香港の鶏肉等の消費減退を懸念しているか
を示すものといえる。 宣伝広告には USDAの食鳥検査証明印とUSAPEECのロゴが掲
げられており、  「これらのマークは、 安全、 健康、 かつおいしい米国産鶏肉・鶏
卵であることを保証します」 という文面を掲載する予定となっている。 この広告
は、 香港および中国南部に配送される新聞を媒体として行われる。 また、 併せて、 
米国産鶏肉・鶏卵が米国政府の検査を受けた安全なものである旨を記した POS広
告を、 鶏肉販売店、 スーパーマーケットおよびレストラン向けに配布することと
している。 なお、 これらの費用総額は、 USAPEEC によれば、 約17万ドルに及ぶ
ものである。 

 米国から香港に輸出された鶏肉は中国本土へ再輸出されているが、 今回の騒動
は、 香港だけに限られたものではないため、 影響の拡大が懸念されている。 加え
て、 アジア通貨の下落が米国の鶏肉輸出に暗い陰を落としているなか、 アジア最
大の輸出市場である香港の鶏肉消費の動向に大きな関心が寄せられている。 



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