豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○牛肉輸出の回復が顕著に


2大市場への輸出が共に回復

 豪州食肉畜産公社 (AMLC) はこのほど、 97年10月までの豪州の牛肉輸出量
を発表した。 これによると、 97年1〜10月の累計は66万8千トン (船積み
重量ベース) で、 一昨年の水準には達していないものの、 前年同期比16.2%
増の大きな伸びとなった。 このうち、 前半1〜6月の伸び率は10.1%であっ
たことから、 牛肉輸出の回復が7月以降に一層顕著になったことが示されている。 

 また、 1〜10月の輸出動向を国別にみると、最大の輸出先である日本向け(シ
ェア39%) は26万2千トンで前年同期比11.1%増、 第2位の輸出先であ
る米国向け (シェア28%) は18万8千トンで同25.1%増となっている。 
したがって、 1〜10月の輸出増加は、 合わせて三分の二のシェアを占める日本
および米国への輸出の回復がけん引力となっている。 

◇図: 豪州の牛肉月別輸出量◇


好材料がそろった日本・米国市場

 わが国への輸出動向をみると、 1〜6月には前年同期比0.4%増と横ばいで
あったが、 7〜10月では31.1%増と大きく伸びた。 昨年の対日輸出は、 O
−157問題等による日本市場の消費低迷から不振が続いたが、 今年は夏場から
輸出が増大している。 これは、 O−157ショック等からの消費の回復に加えて、 
昨年は8月以降に冷凍牛肉のセーフガード (SG) が発動されたことにより、 輸入
水準が低めで推移したことなどによるものと考えられる。 

 次に、 米国への輸出についてみると、 1〜6月の前年同期比は38.9%増で、 
年前半に顕著な回復傾向が表れた。 7月以降は伸び率が低下しているものの、 依
然として高水準を維持している。 対米輸出が好調である背景としては、 米国のキ
ャトルサイクルが減少局面に入ったこと等に起因する老廃牛のと畜減少が続いて
いることが主な要因と考えられる。 


好調のアジア向け、 減速懸念も

 その他の主要相手国への1〜10月の輸出についてみると、 2001年にウル
グアイ・ラウンド合意に基づく牛肉の輸入自由化を控え、 輸入枠を年々増加させ
ている韓国向けが前年同期比15.5%増の5万トンとなったほか、 カナダ、 台
湾、 ASEAN諸国向けが30%〜70%といずれも大きな伸びを示している。 

 豪州の牛肉輸出は、 上記の上位6ヶ国 (地域) で全体の9割以上を占めており、 
これらが揃って大きな伸びを記録したことは、 93年以来4年連続で減少し続け
てきた豪州の牛肉輸出が本格的に回復基調に入ったことを示すものと言える。 し
かしながら、 最近の東南アジア各国の通貨不安により、 経済成長を追い風として
一貫して増加基調で推移してきた同地域への輸出が減速するのではないかと懸念
する声もあり、 今後の動向が注目される。 

◇図: 豪州の牛肉国別輸出量◇



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