タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○タイの鶏肉需給動向


生産の大幅拡大続くも、 伸びは鈍化

 タイ農業協同組合省が公表した統計によると、 8月のブロイラー生産量は、 前
年同月比22. 4%増の72. 1百万羽となり、 引き続き大幅な増加となった。 
しかし、 本年5月に伸び率32.3%のピークを示した後、 これまでのような増
加の勢いはなく、 通貨タイバーツの下落の影響が出始めたとみられている。 また、 
同月のひなのふ化羽数は、 前年同月比23. 1%増の75. 6百万羽と引き続
き大幅な増加となった。 しかし、 今年に入って前月まで続いた毎月百万羽に及ぶ
ふ化羽数の増加から、 今月は一息ついた形となった。 


堅調な鶏肉卸売価格

 バンコック市場における10月の鶏肉 (生体)1kg当たりの卸売価格 (速報)は、 
例年の不需要期のため前月に較べ2.2バーツ下落したものの、 前年同月の価格
が23. 3バーツとかなり低かったこともあり、 前年同月比で15. 2%の大
幅な上昇となっている。 しかし、 今年の同価格の推移をみると、 25バーツを中
心に上下2バーツの範囲での増減に留まっており、 季節変動幅が過去に比べ縮小
している。 これは、 国内生産の大幅な増加にも関わらず、 冷凍鶏肉の輸出の回復、 
鶏肉調製品輸出の安定的拡大および国内ファストフード産業における鶏肉調製品
の堅調な需要などにより、 一定の需要が確保されていることによるものとみられ
ている。 


鶏肉生産コストの上昇を懸念

 96年の飼料用穀物の生産量及び価格は、 下表のとおりとなった。 生産量は、 
ほぼ前年並みであったが、 価格はかなり上昇した。 特に、 大豆ミール価格は、 国
内生産量が前年を下回ったこと及び国際価格がかなり高騰したことなどから、 前
年比19%の上昇となった。 また、 トウモロコシ、 魚粉についても、 前年比8%
の上昇となった。 この結果、 96年のブロイラー用配合飼料の価格は、 育成用が
6. 28バーツ/kg (前年比106. 8%) 、 仕上げ用が7.86バーツ/kg 
(同106. 5%) とそれぞれかなり上昇した。 

 97年1月から8月までの同配合飼料の平均価格は、 育成用が6.45バーツ
/kg (前年同期比101. 4%) 、 仕上げ用が8. 04バーツ/kg (同102. 
1%) とわずかな上昇にとどまっている。 しかしながら、 7月からの通貨バーツ
の下落により、 原料となる穀物の輸入価格も高騰していることから、 今後、 配合
飼料価格は、 上昇するものと見込まれ、 鶏肉生産コストの上昇が懸念されている。 

飼料用穀物の生産量及び価格の推移

  飼料:トウモロコシはタイ農業統計局、大豆ミールはタイ飼料協会、
        魚粉はCP社


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