米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○BFPの動向と飲用向け最低乳価算定をめぐる動き



BFP、 生産者販売価格引き続き上昇

 米農務省 (USDA) の公表によると、 97年11月の生乳の基礎公式価格(Basic 
Formula Price: BFP) は、 前年同月比11.6%高、 前月より13セント高の1
2ドル96セント (100ポンド当たり) となった。 BFP は、 ミルクマーケティ
ングオーダー制度 (MMO)の指標とされる価格であり、 加工原料乳と主要乳製品の
実勢取引価格に基づいて算出される。 今回の BFPの上昇は、 その重要な算出要素
である加工原料乳価格の上昇が主要因となっている。 加工原料乳価格は、 96年
末以降、 低い水準で推移していたが、 97年に入り、 チェダーチーズなど主要な
乳製品の生産が増加傾向になったことから回復に向かっていた。 また、 BFP 価格
の上昇に伴い、 11月の生産者平均生乳販売価格も、 前月より30セント高の1
4ドル30セント (速報値) になった。 

◇図:生乳の農家販売価格とBFP価格◇


早急な見直しを迫られるMMO制度の乳価算定方法

 連邦地方裁判所は、 11月、 MMO制度の飲用向け (クラスI) 最低乳価の算定シ
ステムが、 地域間で不公正かつ差別的であるとの判決を下した。 現行の MMO制度
では、 飲用向け最低乳価は、 BFP を基に、 主要酪農生産地からの輸送コスト等を
加えて算定することになっているが、 今回の判決の中で、 裁判官は、 農産物取引
協定法では飲用向け最低乳価をオーダー地域の生乳需給に与える経済事情等に基
づき定めるものとしていることを挙げ、 現行の算定システムが違法であるとの判
断を示した。 

 この判決を受けて、 USDAは、 上訴するか、 あるいは新しい価格算定システムを
構築するまでの時間を確保するため、 同裁判所およびミネソタ州連邦巡回裁判所
に対し判決の執行猶予を求めたところ、 98年2月15日までの猶予が認められ
た。 

 96年農業法においては、 オーダー数を現在の32から10〜14地域に統合
するとともに、 オーダー別の飲用向け最低乳価算定方法等を含む MMO制度の見直
しが決定されている。 98年初旬に予定されているUSDAの素案発表が間近に迫っ
ているだけに、 今回の判決が、 今後の展開に大きな影響を与えるものとみられて
いる。 

 (注) MMO制度における乳価算定方法

 MMO制度では、 BFPを基に、 オーダー (乳価算定のための地域区分) 内で取引さ
れる飲用規格 (A等級) 生乳の最低乳価が用途別に設定される。 そのうち、クラス
II (クリーム、 ヨーグルト、 アイスクリーム等向け) およびクラスIII (バター、 
チーズ、 脱脂粉乳等向け) の最低乳価は、 どのオーダーでも同一であるが、 クラ
スI(飲用向け)の最低乳価については、 オーダー毎に定められる上乗せ価格をBFP
に加えて算出するため、 各オーダーで異なっている。 現在、 この上乗せ価格は、 
ウィスコンシン州オークレア市からの輸送コストおよび加工規格 ( B等級) 生乳
を A等級に転換するための追加費用等を考慮して定められている。 このため、 同
地域からの距離に比例して、 上乗せ価格が高くなる仕組みとなっており、 地域間
格差が大きな問題となっている。 なお、 オーダー内の生産者には、 各オーダーご
とに算出されるプール乳価により乳代が支払われている。 



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