米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○前年水準を下回る豚肉輸出


対日輸出が減少

 米農務省 (USDA) によると、 97年1月から8月までの豚肉輸出量は、 前年同
期を1.1%下回る29万3千トン (枝肉ベース) となった。 同国の豚肉輸出は、 
全体の約5割を占める対日輸出の動向に大きく左右される。 97年1月から8月
までの日本向け輸出は、 前年同期を17.9%と大幅に下回る13万8千トンと
なり、 総輸出量に占めるシェアについても前年同期の56. 9%から47. 2
%へと縮小した。 


台湾の代替輸出は期待はずれ

 97年1月〜8月の対日輸出が前年に比べて大きな減少となった背景として、 
96年7月からのセーフガード (SG) 発動を前に高水準の対日輸出が行われ、 同
年4月〜6月の3ヶ月間に通常年度の輸入量の半分以上に相当する空前の輸入が
あったことが挙げられる (左図参照) 。 

 さらに、 96年の日本の豚肉市場は、 BSE、 O−157問題等により一時的に牛
肉から豚肉へ消費がシフトしたが、 97年には豚肉の消費がまた一昨年以前のレ
ベルに逆戻りし、 停滞していることも要因である。 

 台湾での口蹄疫発生に伴う 「特需」 に期待した米国豚肉業界は、 前年との比較
で見る限りデンマーク、 カナダおよび韓国等に遅れを取った形となっている。 

◇図: 国別輸出量の推移◇


NAFTA向けは好調

 一方、 日本に次ぐ伝統的な輸出市場であるカナダ、 メキシコ向けについては、 
97年1月から8月までの輸出量が、それぞれ前年同期に比べて24.3%増、5
4.7%増と大幅に増加した。 特に、 94年12月に通貨危機に見舞われたメキ
シコへの輸出は、 95年には前年の4割の水準にまで激減したが、 同国経済が落
ち着きを取り戻すにつれて、 回復の兆しが見られている。 また、 総輸出量に占め
る両国の合計シェアについても、 前年同期の14. 5%から19. 7%へと拡
大しており、 日本向けの大幅な減少分を一部補っている。 


業界団体は今後も日本市場を重視

 米国食肉輸出連合会 ( USMEF) は、 先月行なわれた定例総会で、 今後の輸出戦
略や輸出見込み等について討議を行った。 

 そこにおいて、 これまでは“ Customers have to come to us.”といった輸出
する側、 または生産する側が優位の取引きを行ってきたが、 今後は輸出先の消費
者の要求に応じた対応をとる必要があることが確認された。 なお、 輸出市場とし
ては、 引き続き日本を重視する一方で、 通貨下落等の影響で輸入の減少が懸念さ
れる東南アジアや、 さらなる経済成長が見込まれる中国、 さらには南米なども注
目していきたいとしている。 また、 輸出戦略上の最優先課題は 「食品の安全性」 
を強調することであるとして、 日本向けについて、 今後もプロモーション活動を
通じてUSポークの安全性等を訴える考えである。 

 なお、 この会議では、 2000年までに対日豚肉輸出量を34万トンとすると
いう予測 (目標) も発表された。 



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