酪農の保護水準を強化 (インドネシア)




零細な酪農経営が一般的

 インドネシアでは、 119千戸の酪農家が、 347千頭の乳牛を飼養しており、 
一戸当たりの平均飼養頭数は3頭を下回る零細な経営が一般的となっている (9
6年の速報値。 以下同じ) 。 また、 生乳生産量は434千トンにとどまっており、 
その伸び率は、 前年比1%にも達していない。 このため、 国内生乳生産の早急な
拡大が求められている。 

 一方、 乳製品等の需要は、 経済の高度成長に伴い順調に拡大してきた。 95年
には、 前年比50%近い大幅な伸びとなり、 生乳換算で初めて百万トンの大台に
乗った。 96年には、 1, 195千トン (前年比82. 7%) と減少したもの
の、 今後、 乳製品に対する需要は引き続き順調に拡大していくものと見込まれて
いる。 


国産生乳の購入義務化で酪農振興

 このように、 需要が生乳生産の伸び率を上回って急速に拡大していることから、 
乳製品の輸入量が増加している。 このため、 インドネシア政府は、 生産基盤の弱
い国内酪農家の保護および国内乳業の育成を図るべく、 乳製品の輸入量 (生乳換
算、 チーズは除く) に応じて乳業者に国産生乳の購入を義務づけるミルクレシオ 
(以下、 国産:輸入の割合で表示) による輸入システムを実施している。 


国産に対する輸入の割合を下限まで引下げ

 しかし、 国内酪農の生産基盤の確立が遅れ、 生乳生産の伸びが低迷したことか
ら、 インドネシア政府は、 97年下期のミルクレシオを、 対外約束の下限である
1:1.6まで引き下げた。 ちなみに、 ミルクレシオは、 93年に1:1.26
でスタートしたが、 拡大する国内需要に生乳生産が追いつかない状況の中で徐々
に引き上げられ、 95年下期には1:2.9と最高値に達した。 その後、 一時的
に需要の伸びが低下したこともあって徐々に引き下げられ、96年には1:1.7
〜2. 0の範囲に設定されていた。 

 同政府は、 今回のミルクレシオの引き下げにより、 基盤の弱い国内酪農の保護
育成を図るとしており、 また、 同国の乳業メーカーも、 国内生乳供給量を上回る
処理能力を有する乳業施設を効率的に稼働させるべく、 生乳生産の早急な拡大を
望んでいる。 しかし、 同国の酪農生産の現状は、 その振興策の効果が充分に上が
っているとは言い難い状況となっている。 



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