増加する畜産物の消費量 (マレーシア)




鶏肉消費量は6年間で2倍に

 近年、 経済発展の目覚ましいマレーシアでは国民の平均所得が向上しており、 
これに伴い、 消費者にとって身近となった畜産物の消費が増加している。 

 同国では、 畜産物の中で、 鶏肉の消費量が最も多くなっている。 ちなみに、 同
国の平均的な畜産物生産消費地域であるネゲリ・センビリアン州の獣医局の報告
書によると、 同州では、96年の1人当たりの鶏肉消費量が35.6kgとなり、9
0年の15.6kgに比べると6年間で2倍以上に増加した。 また、 同期間に、 牛
肉は3. 79kgから4. 1kgに、 鶏卵は310個から372個に、 それぞれ増
加しており、 鶏卵の消費量は1人1日1個以上に達した。 この結果、 住民が畜産
物から摂取している蛋白質の割合は、 全蛋白質摂取量の29%を占めるに至った。 
当該報告書は、 これら畜産物の消費量が、 今後も増加傾向で推移すると予測して
おり、 2010年における1人当たり消費量は、 鶏肉52kg、 牛肉6.15kg、 
鶏卵485個に達するとしている。 


畜産物の生産量も大幅に増加

 また、 同獣医局によると、 畜産物需要の増加に伴い、 同州の畜産物生産量も増
加傾向で推移している。 同州の主要生産地域について見ると、 養鶏農家戸数は9
0年から96年の間に450戸から240戸に減少したものの、 鶏の出荷羽数は
月間70万羽から160万羽へと増加し、 牛肉生産量も年間590トンから1,
000トンへ、 鶏卵生産量も同70万個から3,150万個へと、 それぞれ増加
した。 さらに、 97年にも、 鶏の出荷羽数は前年比46%増、 鶏卵生産量も前年
比38%増と、 それぞれ大幅な増加が見込まれている。 


小売価格の抑制が発展継続の鍵

 しかし、 タイバーツの下落に始まった最近の東南アジア通貨危機により、 マレ
ーシアの通貨リンギットの貨幣価値も大幅に下落している。 その影響は様々な輸
入品の価格上昇となって現れており、 多くの家畜飼料等を輸入している同国にと
って、 今後の畜産物生産費の上昇は避けられない状況となっている。 同国では、 
これまで消費者の購買力の増加が畜産物の消費拡大を支え、 これに呼応する形で
畜産物の生産も増加してきたが、 今後は政府の価格管理品目である鶏肉を始めと
する畜産物の小売価格の抑制が、 畜産の発展をさらに継続させる鍵になるものと
思われる。 



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