米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○牛肉生産量、減少へ


1〜5月の牛肉生産量、前年同期比1.0%減の見込み

 米農務省(USDA)によると、主要7州のフィードロット(収容能力千頭以
上)における5月1日現在の牛飼養頭数は、導入頭数の減少を受けて前年同月比
2.2%減の830万頭となり、2ヵ月連続で前年を下回った。4月の出荷頭数
も同1.8%減の161万頭となっている。一方、4月の牛肉生産量は、枝肉重
量の増加などにより、同0.2%増の95万3千トンとほぼ前年並みの水準とな
った。

 しかし、USDAでは、5月には、フィードロットでの飼養頭数の減少などを
受けて、牛肉生産量は同9.8%減の89万6千トンに減少すると推定しており、
この結果、1月から5月までの累計の牛肉生産量は前年同期比1.0%減となる
見込みである。

主要7州におけるフィードロットの飼養動向

 資料:USDA「Cattle on feed」


経産牛のと畜頭数が更に減少

 1〜4月のと畜頭数を種類別にみると、未経産牛は、引き続き増加したものの、
前年同期比1.2%増の376万頭とわずかな伸びに留まっている、一方、96
年をピークに減少している経産牛は、更に減少し同11.4%減の194万6千
頭となった。主に加工用に用いられる経産牛のと畜頭数の減少により、豪州など
からの牛肉の輸入が増加すると見込まれている。5月20日に公表されたUSD
Aの需給予測によると、為替レートが現行レベルであれば、98年の牛肉輸入量
は前年比14.2%増の121万トンに達するとしている。

◇図:種類別と畜頭数の推移◇


夏以降、繁殖用雌牛の保留増加か

 経産牛のと畜頭数減少の要因としては、@乳用経産牛の総飼養頭数の減少に伴
い、更新される搾乳牛頭数が減少していること、A肉用子牛生産を行う牛群を縮
小するために淘汰される経産牛が減少したことが挙げられる。経産牛の総と畜頭
数に対する割合を見ると、肉用経産牛のと畜割合(比較のため各年とも1〜4月
までのと畜頭数を基に算出)は、キャトルサイクルが減少に向かった96年およ
び97年には、牛群縮小のために多くの経産牛が淘汰されたことから、高い割合
を示している。しかし、98年には、キャトルサイクルの上昇期であった94年
と同水準まで低下しており、牛群縮小のための経産牛の淘汰が一順したものと見
られる。USDAでは、今年の夏から生産拡大に向けた雌牛の保留が開始される
と予測している。

◇図:経産牛の種類別と畜割合の推移◇


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