米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○回復の兆しをみせるブロイラー価格


9ヵ月ぶりに丸どり価格が60セント代へ

  米農務省(USDA)によると、98年5月のブロイラー卸売価格(丸どり、
12都市平均、以下同じ)は、前年同月に比べて2.5%上回る60.0セント
/ポンド(約180円/kg)となった。ブロイラー価格は、生産過剰などを反映
して97年5月から前年水準を下回っており、最需要期である初夏から晩秋にか
けての通常の価格上昇も見られず低迷していた。しかし、98年に入り、春先か
らのバーベキュー需要が活発化し始めたことなどから徐々に上昇し、5月は9ヵ
月ぶりに60セント代へ回復した。


むね肉の引き合いが活発に

  ブロイラー卸売価格を主要品目別に見ると、主として国内向けに供給されるむ
ね肉(ボンレス、北東部)の価格は、丸どり価格同様97年5月以降前年水準を
下回っていたものの、98年5月は前年同月を9.4%と大きく上回り180.
0セントとなった。一方、輸出需要が中心のもも肉(ホール)の価格は、低調な
需要を受けて96年末以降概ね下落傾向が続いており、98年5月は前年同月に
比べ10.6%安の43.0セントであった。

◇図:ブロイラー卸売価格の推移◇


加工業者の経営状態は良好

  しかしながら、ブロイラー加工業者の収益性を見ると、意外にも黒字経営が続
いていることがわかる。ブロイラー価格は97年平均で前年を3.9%下回り、
98年第1四半期では前年同期を6.0%下回ったが、加工業者段階の純利益は
97年平均では5.8セント/ポンド、98年第1四半期については5.1セン
ト/ポンドと、価格に関係なく黒字となっている。このように、収益性が良好で
ある背景としては、飼料価格の下落による生産コストの低下が挙げられる。飼料
価格は、96年秋以降下落しており、97年平均の飼料コストは前年を10.3
%下回り、98年第1四半期では前年同期を3.8%下回ることとなった。飼料
コストは、ブロイラー生産の6割以上占めていることから、飼料価格の動向が経
営状態を大きく左右するといえる。

◇図:飼料コストと純利益の推移◇

  また、ブロイラーの飼料は、トウモロコシと大豆ミールが大半を占めるが、こ
れら飼料価格は引き続き安値が見込まれることから、今後ブロイラー価格の大幅
な下落がない限り加工業者にとって良好な経営状態が続くと思われる。


元のページに戻る