◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)が5月に発表した飼料需給によれば、米国のトウモロコシ 需要量の約6割を占める飼料用は、97/98年度(9月〜8月)が、前年度比6%増の1 億4,479万トン、98/99年度については、同3%増の1億4,860万トンと予想されて いる。これは同国の家畜生産の増加を反映したもので、フィードロット飼養頭数 の減少等のみられる牛肉部門は例外として、豚肉生産は、98年及び99年について、 それぞれ前年比10%及び2%の伸びが見込まれるほか、家きん肉生産も、98年及 び99年ともに前年比4%の増加が予想されている。 ◇図:トウモロコシの用途別シェア◇
飼料用に次ぐシェア(約2割)を有する食料、種子及び燃料用等(FSI)の需要 量については、96/97年度以降増加しており、97/98年度及び98/99年度は、それぞ れ前年度比8%及び3%の伸びが見込まれている。 このカテゴリーの内訳で、最大のシェア(約3割)を占めるのが異性化糖(HFCS) 向けで、ソフトドリンク等の堅調な消費を受けて増加して推移しており、97/98年 度と98/99年度については、それぞれ8%及び5%の増加が見込まれている。これに 次ぐシェアを有するのは、燃料用のエタノール向けで、以下、グルコース及びデ キストロース向け、スターチ向け、シリアル向け等の順となっている。 トウモロコシの食料、種子、燃料等(FSI)の内訳 資料:USDA「Feed Yearbook」、「Feed Outlook」 注1:97/98年度及び98/99年度は予測 注2:シリアル等には種子を含む
総需要量に占める輸出の割合は、このところの不振で95/96年度の26%から97/98 年度には16%にまで縮小するものと見込まれている。97/98年度の輸出量について は、前年度比18%減、一方、98/99年度については、前年度比7%増と若干の回復が 見込まれているものの、96/97年度の水準には及ばない。 輸出減少の理由の一つには、東南アジア市場での経済危機による需要減が含ま れる。現地通貨安により輸入穀物価格は大幅に値上がりしており、USDAの試算に よれば、98年2月のトウモロコシ価格は、現地通貨ベースの前年同月比で、タイ が67%高、インドネシアが271%高、マレーシアが45%高、フィリピンが44%高とな っている。値上がりの最も激しいインドネシアでは、家畜生産への影響も大きく、 例えば、家きんのブリーダー業界では、週当たり1,400-1,500万羽の生産をしてい たものが、現在ではその約3割の水準に落ち込んでいるという。さらに、トウモ ロコシの一部が輸出に回されるほど、家畜生産の縮小が進んでいるとUSDAは報告 している。
トウモロコシの需要量は、輸出の不振にもかかわらず、トータルでは97/98年度 が2%、98/99年度については、3%の増加が見込まれている。 一方で、98/99年度の生産見込みについても、豊作であった前年度をさらに3% 上回るものとみられており、価格は弱含みの展開が予想されている。USDAは97/9 8年度の農家価格を2.40~2.50ドル/ブッシェル、98/99年度については、さらにこ れを下回る2.05~2.45ドル/ブッシェルと予測している。 なお、主要17州における5月31日現在のトウモロコシ作付進捗率は97%で、昨年 同時期とほぼ同じ、作況状況については、76%が「良好」以上となっており、昨 年同時期の60%を上回っている。
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