NZの牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○酪農場価格が下降局面へ


4年間で2倍に上昇

 ニュージーランドの家畜改良公社によると、97年上半期(1〜6月)の同国
の酪農場平均売買価格は、12,458NZドル/haとなっており、前年同期
に比べて5.5%の下落となっている。

 酪農場の価格は、近年、アジア向けを中心とした乳製品の輸出の伸びに支えら
れて、乳価が高水準で推移し、酪農産業の収益性が全般的に良好であったことを
背景に、大幅に上昇していた。特に92年から95年にかけて、2倍近くの上昇
を記録している。また、他の放牧農場の価格と比較した場合、肉牛肥育用放牧農
場の約6倍、その他の放牧農場に比べると約21倍と、酪農場価格が特に高水準
であることがわかる。

◇図:酪農場価格の推移◇


96年に入り、下降局面へ

 しかしながら、これまでの急激な酪農場価格の上昇は、新たに酪農場を購入す
る者の資金負担を大幅に増加させていたことも事実であり、このことが、新規参
入社や規模を拡大しようとする酪農家にとって、大きな負担となっていた。その
ため、酪農場の価格水準は限界に近づきつつあった。

 そして、酪農経営の収益状況が悪化し、酪農場売買件数が減少しているという
こともあって、その価格も下降に転じたものと考えられる。


南島における酪農の発展も要因の一つ

 さらに、近年のニュージーランド酪農において、新興酪農地帯である南島での
規模拡大も、同国の酪農場の平均価格低下の要因の一つとなっていると考えられ
る。これまで南島の畜産の中心であった羊や肉牛から酪農への転換が進んでいる
ことや、安価な土地を求めて北島の酪農家が南島へ進出してきていることなどを
背景として、北島における酪農家戸数が若干ではあるがここ3年ほど減少し続け
る一方、南島においては毎年数パーセントほど増加が続いている。そのため、北
島に比較して地価が安い南島において酪農場が増加しているということが、結果
的にニュージーランド全体の平均酪農場価格を下げる要因の一つとなったと考え
られる。

ニュージーランド地域別酪農場価格

 資料:「Valuation New Zealand」1997年6月現在

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