◇絵でみる需給動向◇
バター価格が急騰している。5月のバターの卸売価格(シカゴ地区、グレード A。以下同じ)は、前年同月比70.9%高の147.2セント/ポンドとなり、 大幅に上昇した。前月との比較では、ポンド当たり20.2セント高となってい る。バターの卸売価格の動きを週別に見ると、5月の最終週(5月29日)には、 165〜166セント/ポンドまで上昇し、前年5月の平均卸売価格の2倍近い 水準になっている。 4月のバター生産量は、前年同月比11.9%減の4万7千トンとかなり落ち 込んでおり、1〜4月の累計でも、前年同期比7.2%減の19万1千トンに留 まっている。このため、需給がひっ迫し品薄感が広がっていることが今回のバタ ー価格急騰の要因の一つと見られるなっている。 ◇図:バター卸売価格の推移◇
バターを始めとする乳製品は、農業調整法第22条に基づき輸入が制限されて いたが、ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意に基づき、95年に関税化さ れた。しかし、バターの関税相当量(98年)は163.2セント/キロの高率 に設定されたため、ミニマムアクセス枠外での輸入は難かしい状況にある。ミニ マムアクセスとして95年に約4千トン、その後、徐々に拡大され最終年の20 00年には約7千トンが12.3セント/キロの低税率で輸入されることとなっ ている。 米国の乳業会社の団体である国際乳製品協会(IDFA)は、今回のバター価 格の高騰を受けて、6月上旬、農務長官に対し要望書を提出し、低関税率で輸入 できるバターの数量を1万8千トン追加することなどを強く働きかけている。
一方、生乳生産者団体の全国生乳生産者連盟(NMPF)および酪農協系のバ ター製造業者が加入している米国バター協議会(ABI)は、IDFAの動きに 対し強く反発している。両団体は、今回のバター価格の高騰は一時的なもので、 バターの追加輸入を行わなくとも価格は沈静化すると主張しており、今後のバタ ー価格の動向とともに米農務省の対応が注目されている。
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