◇絵でみる需給動向◇
農業委員会(農業省に相当)はこのほど、養豚離農者に対する補償基準に係る 法案策定の準備を進めている。 農業委員会は、世界貿易機関(WTO)加盟をにらんだ98年2月の米国との 2国間交渉の合意を受け、政府、業界関係者および学識者により構成されたWT O加盟に関する養豚などの専門委員会を組織して、加盟後の具体的な養豚業界の 対応策を検討してきた。農業委員会の試算によると、加盟後は肉豚100Kg当た りの生産コストを従来の約4,500元(1元=約4円)から3,500〜3, 800元に引き下げなければ輸入豚肉に対して競争力がないとされている。これ を受けて本専門委員会は、養豚の継続が困難になるとみられる小規模農家の離農 に関する補償基準案を策定した。この草案は農業委員会の許可を得た後、現在、 行政院の審査部門で審議中と伝えられる。
政府の養豚関係機関紙「養猪報導」によると、補償基準案は以下のとおりとな っている。 1 飼養中の豚については補償条件に入れない。申請を行う農家は養豚場全体に ついて廃業 を実施しなければならない。 2 補償対象は96年11月末に実施された「台湾地域養豚頭数調査」に記録を 有し、自ら 申請する者すべてとする。 3 補償費用の算定には建築材質および減価償却は考慮しない。豚舎および排水 処理施設の 補償は次のとおりとする。 (1)分娩舎(分娩用室があるものに限る)および飼料室(飼料混合機があるも のに限る)については1,800元/平方メートルとする。 (2)保育舎(高床があるものに限る)および母豚舎(囲いがあるものに限る) については 1,500元/平方メートルとする。 (3)肥育豚舎は1,200元/平方メートルとする。 (4)排水処理施設については2,250元/立方メートルとする。 4 補償の上限は次のとおりとする。 (1)豚舎の補償面積の上限は2,500平方メートルとする。 (2)排水処理施設の補償額の上限は180万元とする。 5 公的証明の有無により異なる補償基準を適用する。 (1)畜産施設としての土地使用許可証明はないが、土地使用権証明を有し、牧 場用地が土地使用規制法の規定を満たし、かつ、水源水質水量保護区公示以 前に畜舎が建設されている場合、補償費用は1倍とする。 (2)建築物証明はないが、畜産施設としての土地使用許可証明を有する場合、 補償費用は1.2倍とする。 (3)牧場登記は行っていないが、建築物証明を有する場合、補償費用は1.4 倍とする。 (4)牧場登記済みであるか、飼育規模が登記条件に達していない場合、建築物 証明を有すれば、補償費用は1.5倍とする。 6 屋根はそのままで、内部の設備のみをすべて撤去した場合、補償費用は二分 の一とする。 7 養豚舎の廃棄物撤去費用については、1,000平方メートル当たり5万元 補償する。上限は2,500平方メートルとし、支給上限額は12万5千元と する。 なお、現地報道によると、農業委員会は、本補償によって小規模養豚農家の転 業を進め、3千頭以上の競争力を有する養豚場については維持していくものとし ており、今後は2万戸余りのすべての養豚農家に対して離農についての意識調査 を行い、6月末までに転業意志のある者を確定の後、補償の手続きを行うとして いる。
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