米国の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○増加傾向続く豚肉生産


98年1〜5月期は2ケタ増に

  米農務省(USDA)によると、98年1〜5月までの豚肉生産量(枝肉ベー
ス)は、347万8千トンとなり前年同期を10.0%上回った。枝肉生産量は、
昨年夏以降のと畜頭数の増加を反映し、97年9月から一貫して前年水準を上回
って推移している。なお、98年1〜5月までのと畜頭数は、前年同期に比べて
9.3%の増加となっている。


輸出意欲の高さが生産増加の一因

 生産増加の要因としては、飼料価格が比較的安価で推移しているため生産コス
トが低下したこと、禁輸となった台湾産の代替需要を見込み日本を中心とした市
場への輸出意欲が増したことなどから、生産者の増産意欲が促進されたことが挙
げられる。豚肉輸出については、米国内の豚肉消費が伸び悩む中、87年以来、
連続して目覚しい伸びを示してきたものの、生産量に占める割合は、97年で6
%程度と牛肉や鶏肉に比べると最も輸出割合が低い。このため、業界では十分な
増加余地があるとし、豚肉輸出のさらなる拡大を目指している。

◇図:豚肉生産に占める輸出の推移◇


カナダからの生体輸入増も一因

 また、97年6月以降豚飼養頭数が増加傾向にあるにもかかわらず、生体肥育
豚の輸入が増え続けていることも豚肉生産に拍車をかけている。肥育豚の輸入先
は、ほぼ100%カナダからとなっており、カナダからの97年輸入量は、前年
に比べ14.4%増の318万頭となった。これは、昨年カナダの豚生産者が、
国内市場よりも取引価格の面で好条件のアメリカへ供給を大幅にシフトしたこと
や、97年11月から98年3月上旬にかけて、カナダ最大の食品加工会社の従
業員ストライキにより、同社の豚肉処理工場の閉鎖が続いたことなど、カナダ側
の事情があった。

◇図:カナダからの肥育豚輸入の推移◇


今後は生産鈍化の見込み

  USDAは、98年通年の豚肉生産について、前年に比べ約10%の増加を見
込んでいるが、最近の価格低迷が養豚経営をかなり圧迫していることから、今後
は鈍化するものとみている。また、カナダからの肥育豚輸入についても、米国と
カナダ間の価格格差が改善され、カナダ国内での豚肉加工処理の稼働率を向上す
ることができれば、今後減少に向かうと予測している。この結果、99年の生産
量は、前年比2%程度の増加に落ちつくものと見込んでいる。


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