めん山羊と豚の登録および個体識別制度の改善を提案(EU)


改善すべき4項目を掲げる

 EU委員会は、めん山羊と豚の登録および個体識別制度の実施状況に関する報
告を取りまとめた。この制度は、家畜防疫のための個体の所在確認と移動歴の追
跡、また、直接所得補償として交付している各種奨励金事業のための個体確認を
行うことを目的としており、各加盟国がEUの基本法規の下に独自に法制化して
実施している。

 今回の報告によれば、家畜防疫上の効果を否定しており、この制度そのものが
不備であるか、さもなければ加盟国間でのデータの互換性が欠如しているとして
いる。このため、今後、家畜防疫および消費者の信頼性の維持といった観点から、
少なくとも改善すべき点を4項目掲げている。


生産農家の登録の年1回更新などを提案

 まず、生産農家の登録について、少なくとも年1回は更新し、登録されている
すべての生産農家の登録番号、住所、飼養状況および飼養規模の迅速な把握を可
能にすべきであるとしている。この際、データは、一カ所に集積しやすいように
分類収集すべきであるとし、また、中期的には、加盟国のデータを取りまとめ、
EU全体のネットワークに集積することも提案している。

 次に、生産農家段階での記録について、搬入・搬出されたすべての家畜につい
て、出生、死亡、貸与、一時的な移動などのデータを、原則として毎日記録すべ
きであるとしている。この際、記録の内容については、EUレベルで定める必要
があるとしている。

 また、家畜の移動に添付する証明書類については、EU一律の様式とするとと
もに、出荷農家の保存用と、出荷家畜に添付し出荷先の農家の保存用とするもの
の2部をセットにするよう提案している。

 最後に、家畜の個体識別については、@6カ月齢のすべての個体には、由来農
場の識別番号を付した耳標を装着する、A2カ月齢から6カ月齢未満の個体には、
移動する場合には耳標を装着する。ただし、読みとりの簡単な入れ墨に置き換え
ることも可能とする、B2カ月齢未満の個体については、移動時に何らかの着色
を行うことが必要であると述べている。


これ以上の厳格な制度については、IDAEプロジェクトの結果を待って検討すべきと提案

 これ以上の厳格な制度の実施については、現在EUが実施中の電子識別の有効
性に関する野外試験(IDEAプロジェクト)の結果を待って検討すべきである
としている。この試験は、2000年末までの予定で、7カ国が参加している。

 なお、報告書では、生産農場の情報のデータベース化についても触れている。
これによると、めん山羊に関してはデンマーク、豚に関してはオランダのものが
評価できるとしている。イギリスにはSACRIMO、ベルギーにもSANIT
ELといったデータベースシステムがあり、めん山羊および豚をカバーしている
が、前述のシステムには及ばないと述べている。


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