再編続くニュージーランドの酪農協


南島に大型酪農協が誕生

 このほど、ニュージーランド(NZ)の南島に所在する二つの酪農協の合併が
発表された。今回、発表されたのは、生乳処理シェアで南島最大のアルパイン酪
農協と、同第2位のサウスランド酪農協との合併で、6月22日よりサウス・ア
イランド・デイリー酪農協(SIDC)として発足する。新酪農協のNZ全体の
生乳処理量に占めるシェアは、10%前後に上るとみられ、北島を本拠とするN
Zデイリー・グループ(NZDG)酪農協(約50%)やキウィ酪農協(約25
%)には遠く及ばないものの、新興酪農地帯である南島を本拠とする酪農協の中
では突出した規模となる。


NZDBの組織見直しが合併を促進

 NZの酪農協は、近年、急速に合理化、大規模化が進み、70年代には95あ
った酪農協が90年には18、そして今回の合併により10組合までに集約され
たことになる。

 従来、合併に当たっては、スケールメリットの追求や生産の効率化など、経済
的な要因が主要な推進力となっていたが、最近ではニュージーランド・デイリー
・ボード(NZDB)の組織見直しがこれを後押ししている側面もある。

 NZでは、法律の下、各農産品ごとに構成される「ボード」によって、一元的
な輸出管理、統一マーケティングが行われているが、現在、行政介入の撤廃、規
制緩和を中心としたボード制の見直しが図られており、各業界別に具体的な改編
計画が本年11月15日までに提出されることになっている。このため、各酪農
協は、規制緩和後の業界における主導権を確保するためにも、大同団結する方向
にあり、特に中小の酪農協が散在する南島でこの動きが激しい。これを裏づける
ように、北島のキウィ酪農協は、昨年、南島のオタゴ酪農協と合併したのに加え、
現在、南島のサウスアイランド・デイリー・ファーマーズ酪農協との合併を交渉
中であり、島内に限定されていた従来の枠組みを超えた合併形態もみられるよう
になった。


今後も大型合併が進む可能性も

 今回の合併の当事者となった酪農家には、業界における南島の発言力が強化さ
れるとの評価もある一方で、この合併をさらなる大型合併を有利に運ぶための地
ならしと捉える向きもある。SIDCの会長は、現時点では、新たな合併は協議
されていないとしているものの、既に、NZDGやキウィ酪農協との合併が噂に
上がっている。NZDBの見直しと平行して、巨大な酪農協が誕生する可能性も
あり、今後の動向が注目される。


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