USDA、HACCPの実施状況等を報告(米国)


規則内容の92%を遵守、違反件数は13件

 米農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)は、先般、98年第1四半
期における危害分析重要管理点監視方式(HACCP)の実施状況等に関する報
告書を発表した。

 HACCPは、食肉パッカーの各処理工程における食品の安全性を確保するた
め、科学的な根拠に基づく検査を行うことを目的として実施されるものである。
従業員500人以上の大規模処理場については、98年1月26日からHACC
P規則が適用されており、今後順次導入され、2000年1月までには、すべて
の食肉処理場に適用される。

 今回の98年第1四半期における実施状況等の報告は、HACCPが実施に移
されてから最初のものとなる。これによると、今年1月にHACCP規則が適用
された312の大規模処理場では、規則内容の92%が遵守され、違反件数は1
3件(12処理場)であった。このことから、USDAは、制度が順調に運営さ
れていると評価している。


運用の改善を求める業界団体

 違反内容の大部分は、衛生問題や温度調節の不適格などといったものであった。
第1四半期において、HACCP関連では延べ13の食肉処理場が、食品安全性
確保の観点などから、数時間から数日間にわたって処理場の操業停止を余儀なく
された。

 現行では、食肉検査官が衛生管理などの検査上の問題点を発見した場合、直ち
に検査の留保や停止を行うことができることになっている。このため、事前にパ
ッカー側への相談がなく、突然、検査が中断されたことにより、操業が中止され
てしまい、現場が混乱するという事例があった。米国食肉協会(AMI)などは、
この点について、何らかの改善措置を講じるようFSISに対して陳情していた。


FSIS、制度の運用改善を発表

 こうした事態を踏まえ、FSISは、食肉処理場がHACCP規則に違反した
場合の通告などの手続きの変更を発表した。これによると、検査官は違反事項を
FSISの地方事務所に報告し、地方事務所が違反内容などをパッカーに通告し
た後、3営業日以内に当該違反事項の改善等が行われた場合には、検査の中止等
を行わないというものである。この手続きの変更は、食肉業界からは、好意的に
受け止められている。ただし、汚染された製品が処理場から出荷されてしまった
場合には、この手続きは適用されず、従来と同様に食肉検査官の判断で、検査の
中止が行えるようになっている。



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