生産者団体、チェックオフ制度の全体投票を要求(米国)


制度廃止を呼びかけるキャンペーンを開始

  地方の生産者団体などは、チェックオフ制度が大規模生産者やパッカーの利益
のために運営されており、中小規模の生産者に恩恵を与えていないとして、この
制度の廃止を促すため、制度継続の賛否を問う全体投票を呼びかけるキャンペー
ンを開始した。昨年半ば以降、生産量の増加などを受けて牛肉および豚肉価格が
低迷していることから、一部の生産者の間では、消費促進などの活動を行うこの
制度に対し不満の声が挙がっていた。また、牛肉については特に、1人当たり消
費量の減少傾向に歯止めがかからないことから、その不満は大きなものとなって
いた。


牛1頭当たり1ドルの賦課金を徴収

 チェックオフ制度とは、生体または輸入食肉の取引時に販売した側の生産者な
どから賦課金を徴収し、これを原資として、食肉の販売促進、需要拡大および調
査研究活動を行うものであり、その賦課金は、現在、牛肉で生体1頭当たり1ド
ル、豚肉では生体販売額の0.45%となっている。

 牛肉および豚肉のチェックオフ制度は、それぞれ法制化後86年に創設された
もので、その運営機関である全国組織のビーフ・ボードやポーク・ボードの役員
の任命や予算、事業計画の認可は、農務長官が行うこととなっている。



本年始めの調査では7割がこの制度を支持

 一方、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)および全国豚肉生産者協議会(N
PPC)が、本年始めに民間調査機関に依頼した調査によると、約7割の牛肉お
よび豚肉生産者がチェックオフ制度を支持しているという結果が出ており、両団
体ともに、この制度は、生産者の規模を問わず有益なものであると反論している。


全体投票に生産者の1割以上の署名が必要

 なお、全体投票の実施については、牛肉および豚肉の場合、それぞれ10%、1
5%以上の生産者などの要求により実施可能となっている。このため、全体投票
を行うには、牛肉で約12万人、豚肉では約2万人の生産者などの署名を集める
必要があるとされている。仮に全体投票が行われる場合には、所要経費はボード
予算から賄われることになるため、今後の事業活動に支障を生じることが懸念さ
れる。NCBAでは、投票に要する経費を海外市場開発の年間予算の約半分に相
当すると見積もっており、今後、価格回復策と併せ何らかの対応を迫られるもの
とみられる。

解 説

チェックオフ資金の流れ(例 牛肉)


*1 対象牛は子牛を含む全種類(肉用牛、乳用牛、繁殖用牛)となり、繁殖
   経営、肥育経営を行うそれぞれの生産者の販売毎に徴収。

  このため、同一の牛について複数回徴収されることがあるが、通常は1
   〜2回である。

*2 生体牛輸入の場合は、国産牛同様、全種類に対し通関時に徴収。

    部分肉など製品輸入の場合は、関税区分に応じた品目毎に定めた額を徴
   収。

 豚肉についてもほぼ同様な構造を成しており、対象豚は子豚を含む全種類(肥
育豚、繁殖豚)で、豚販売額の0.45%を徴収し、最終的には、全国豚肉生産
者協議会(NPPC)などの活動資金となっている。

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