◇絵でみる需給動向◇
豪州フィードロット協会(ALFA)と豪州食肉畜産公社(AMLC)による 四半期ごとのフィードロット飼養動向調査によれば、98年3月末のフィードロ ット飼養頭数は、前年同期(97年3月)と比較して22.7%増の約53万7 千頭となり、これまでの最高を記録した。また、これは、前回97年12月調査 時に出された予測値を約6万頭も上回る結果となっている。この増加の背景には、 干ばつの影響で牧草の状態が悪化していることによる導入頭数の増加、飼料穀物 相場の低水準推移による肥育コストの低下、などが挙げられる。 なお、飼養頭数の大幅な増加に伴って、フィードロットの収容率(収容能力に 対する実飼養頭数の割合で、操業度を示すもの)も前年同期の51%から60% へと、9ポイントも上昇した。 ◇図:フィードロットにおける飼養状況◇
仕向先のうち、豪州国内市場向けが前年同期比43.8%と、大幅に増加して いるのが特徴である。全飼養頭数に占める国内市場向けのシェアも、前年同期の 34%から40%へと拡大している。国内向け肥育牛は、一般的には高品質の穀 物肥育牛肉の供給を目的とした日本向けとは異なり、肥育期間も短く、牧草肥育 牛肉との比較で、一定した品質の牛肉を年間通じて安定供給する手段として行わ れている。大手量販店が戦略的に穀物肥育牛を取り扱っていることが背景となり、 増加してきたとみられる。 一方、日本向け輸出は昨年度から回復傾向にあり、飼養頭数も増加しており、 豪州に進出している日系食肉メーカーの中には、日本向けの長期穀物肥育による 高級牛肉分野を強化する動きもある。しかしながら、昨今の不安定な日本の経済 状況を考慮して、フィードロット業者の中には、これまでの日本向け輸出依存か らの脱却を図っているところも多く、今後も国内市場向けの拡大傾向は、ある程 度まで続くものと見込まれる。 ◇図:仕向け先別飼養頭数の推移◇
また、ALFAでは、前述の豪州国内市場の拡大などを背景に、98年6月期 のフィードロット飼養頭数も54万1千頭と、引き続き高水準で推移すると予測 している。特に肉牛生産の中心地であるクインズランド州で、飼養頭数が約8% 増加するものと見込まれている。 州別フィードロット飼養頭数 資料:ALFA/AMLC「National Feedlot Survey」 ( )内は対前回比:%
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