タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○タイの鶏肉需給


拡大を続ける国内生産

 タイ農業協同組合省が公表した統計によると、98年1月のブロイラーの生産
量は、前年同月比25.3%増の82.6百万羽と引き続き大幅な増加となった。
8月まで前年同月比20%を上回る伸びを示していた生産量は、9月以降は伸び
率が低下していたが、再び20%を超える大幅な伸びとなった。また、ひなのふ
化羽数についても、同様に8月までは対前年比20%を超える伸び率を示してい
たが、9月以降鈍化していた。98年1月では86.1百万羽前年同月比25.1
%増と再び20%を超える大幅な伸びとなっている。今後の生産量は、国内市場
に陰りが見られる一方で、輸出市場が好調であることから、20%を超えるほど
の伸びは期待できないものの、現在の水準で推移するものと見られている。

 なお、同省では98年の生産量について、バーツ安による輸出市場の拡大によ
り、増加するものと見込んでいる。


堅調に推移する卸売価格

 バンコク市場における98年3月の鶏(生体)の卸売価格(速報)は、1s当
たり31.0バーツ(前年同月比20.1%増)となっており、97年9月以降、
前年同月を上回って推移している。また、4月の第2週までの価格は、31.5
バーツで前年比12.5%増と引き続きかなり上昇している。これは、コストの
上昇により生産者が減産していることと、バーツ安によりEU向けなどの輸出市
場が好調であることから、生産者が輸出向けの生産に転換して、国内市場への出
荷量が減少しているためと見られており、しばらくはこの状況が続くものと見ら
れている。

 なお、農業協同組合省の98年の価格予測においても、この水準が続くかもし
くは、更に上昇するものと見込まれている。


好調なブロイラー輸出

 タイブロイラー加工輸出業者協会のとりまとめた98年3月のブロイラー輸出
量(速報値)は、冷凍鶏肉と鶏肉加工品の合計で22.6千トン(前年同月比5
5.8%増)と引き続き前年を上回って推移している。このうち日本向けは12.
7千トン(同24.2%増)と増加傾向で推移しているが、特にEU向け7.1
千トン(同128.9%増)が好調であるため、輸出量全体も増加傾向で推移し
ている。この結果、タイのブロイラ−輸出量に占める日本のシェアは56.1%
と、97年同月の70.4%と比べて10ポイント以上も減少している。

 なお、同協会の98年の鶏肉調製品を含む鶏肉全体の輸出量と輸出金額は、そ
れぞれ97年の45%増と25%増になるとの予測を発表しており、この輸出量
の増加傾向は、しばらく続くものと思われる。


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