◇絵でみる需給動向◇
豪州酪農庁(ADC)によると、96/97年度(96年7月〜97年6月) のチーズ生産量は、前年同期比6%増の約29万トンとなっており、90/91 年度から6年連続で前年を上回って推移している。 生産量増加の背景として、まず、日本をはじめとする海外市場向け輸出が好調 であったことが挙げられる。また、国内向けに関しては、豪州産チーズ販売促進 活動(Choose Australia Cheese Campaign)が功を奏しているようである。これは、 近年強力な競争相手となっているニュージーランドなど他国からの輸入チーズに 対抗するためADCが行っているもので、具体的には、マスメディアによる宣伝 活動、店頭でのデモンストレーション、催し物の開催などによって、豪州産チー ズの品質の良さをアピールし、需要増進を図るというものである。 ◇図:チーズ生産量の推移◇
チーズのタイプ別の生産シェアをみると、チェダータイプ(プロセスチーズを 含む)が生産量全体の61%を占め、これに、モッツァレラ系などのシュレッド タイプ(16%)、カッテージやクリームチーズなどのフレッシュタイプ(12 %)が続いている。 ◇図:チーズのタイプ別生産量割合◇
前年度との比較では、チェダータイプがほぼ横ばいであるのに対して、チェダ ー以外のほとんどの種類で2ケタ台の増加となっており、特に直接消費用ナチュ ラルチーズの需要が伸びている。また、近年の消費者の健康への懸念を反映して、 種類を問わず低脂肪のものが10%ほど増加しており、全体の2割近くを占めて いる。 チーズのタイプ別生産量の推移 資料:ADC「Dairy Compendium」
なお、チーズの生産量は、97/98年度に入ってからも、98年2月までの 8ヶ月間の累計で約21万トンとなっており、伸び率は鈍化しているものの前年 同期を3%上回っている。 豪州農業資源経済局(ABARE)によると、中期的には過去10年の拡大ペ ースは減速するものの、低コスト生産による好調な輸出の影響で、豪州のチーズ 生産は今後も増加傾向で推移することが見込まれている。
元のページに戻る