◇絵でみる需給動向◇
3月に入って上昇に転じた肉豚卸売価格が、4月も高値を維持して推移してい る。 肉豚卸売価格は、口蹄疫の発生で輸出市場が閉ざされたことによる肉豚供給過 剰から、97年11月以降はほとんどの肉豚卸売市場で2千元後半〜3千元前半 (生体100kg当たり)と一貫して低迷を続けた。しかしながら、98年3月に 入ると上昇に転じ、4月から5月上旬にかけては3千元後半〜4千元前半の水準 で推移している。 肉豚卸売価格が上昇に転じた背景としては、97年3月の口蹄疫発生後に肉豚 価格が暴落し、大部分の農家が一時的に交配を見合わせたことから、当時交配さ れた豚が出荷される3月以降の出荷頭数が減少したものと考えられる(交配から 出荷までの期間は約10カ月とされる)。また、3月の1頭当たり平均取引重量 は前月比0.14%減の110.8kgとなっており、肉豚の供給が減少傾向にあ ることを裏付けている。 なお、全国の市場における4月の出荷頭数は57万4千頭となり、3月より9. 3%減少している。 ◇図:肉豚卸売価格の推移◇
肉豚卸売価格が上昇に転じ、3月下旬に連続5日間、3,800元を超えたこ とから、豚価上昇を目的として98年1月から生産者が自主的に行っていた「繁 殖母豚と子豚の淘汰による豚価安定計画」事業が一旦、見合わされることとなっ た。当計画での淘汰目標頭数は繁殖母豚24万頭、子豚40万頭とされているが、 肉豚卸売市場の平均取引価格が連続5日間、3,800元を超えた場合には、当 計画の実施を暫時見合わせることとされている。 なお、当計画では連続5日間、3,800元を下回った場合にはさらに連続3 日間の淘汰措置を実施することとなっている。
97年11月末時点の養豚頭数調査によると、哺乳豚頭数が128万頭となり、 同年7月の調査時より8.2%増加したが、これらの哺乳豚が5、6月以降以降 には市場に出回るとされていることから、肉豚の供給量が再び増加傾向を強める ことも予想される。 農業委員会(農業省に相当)は、こうした状況から今後も肉豚価格が現在の水 準を維持できるかは情勢を見守る必要があるとして、肉豚価格が一時的に安定し たからといって飼養規模を再び拡大することのないように養豚農家に示唆してい る。
元のページに戻る