◇絵でみる需給動向◇
枝肉生産量が依然高水準を維持していることを受けて、肥育牛価格が低迷して いる。肥育牛価格(ネブラスカの相対取引価格、去勢、1,100〜1,300ポンド)は、 97年 8 月から前年水準を割り込んでおり、98年2月には、前年同月比5.9%安の 61.6ドル/100ポンドとなった。また、3月に入っても、引き続き、弱含みで推移 しており、61ドル/100ポンドを挟んで取引されている。(左図参照)
一方、肥育素牛価格(オクラホマシティーの市場価格、去勢、600〜650ポンド) は、キャトルサイクルの下降局面で子牛出産が減少していることを受けて、97年 初めから堅調に推移し、97年後半および98年に入っても高い価格水準を維持して いる。98年2月には、前年同月比17.1%高の86.7ドル/100ポンドとなった。 ◇図:肥育素牛価格 (去勢牛、ミディアムNo.1、オクラホマシティー、600〜650ポンド)◇ この結果、主要なフィードロットが集中するグレートプレーンズにおけるフィ ードロットの収益をみると、高価格で導入した素牛の出荷が始まった97年5月か ら徐々に悪化し、8月以降は赤字での経営が続いていると見られる。 ◇図:フィードロットでの損益分岐点とマージンの推移◇
こうした状況の中で、米農務省 (USDA)は、 3 月24日、 3 千万ドル相当(約40億円)の牛肉を追加して買い入 れることを発表した。これらの牛肉は、低所得者に対する食糧援助プログラムな どに振り向けられる。(USDAは、本年度、全米給食プログラムの下で 1 億 4 千 1 百万ドルの牛肉を既に買い入れている。) しかし、今回発表された牛肉の追加買入は、非常に大きな米国の牛肉生産の規 模を勘案すると、決して十分と言えるものではなく、低迷する肥育牛価格に大き な影響を与えるものではないとの見方が広がっている。
元のページに戻る