◇絵でみる需給動向◇
米国はEUに次ぐ生乳生産量を誇り、乳製品の主要品目のほとんどで単一の国 として世界最大の生産・消費量を誇っている。しかし、米国産乳製品は、一般的 に国際価格に比べて高価で国際競争力に乏しい。このため、米国産乳製品の輸出 は、輸出補助金ともいうべき乳製品輸出奨励計画(DEIP)に基づく奨励金に支え られる要素が大きくなっている。ウルグアイラウンド(UR)合意によりDEIPの対 象数量および支出金額は、ともに年々引き下げられることとなっているが、DEIP は米国内における乳製品の需給バランスを図る上で、依然、大きな役割りを担っ ている。 ◇図:バター、脱脂粉乳の米国価格と国際価格との比較◇ なお、昨年 6 月に発表されたDEIP(97年 7 月〜98年6月)の対象数量は、UR 合意による上限一杯となっている。その品目別内訳は以下の通りである。脱脂粉 乳92,217トン、全粉乳7,487トン、バター類34,232トン、各種チーズ(チェダー、 フェタ、ゴーダ、クリーム、モッツァレラ、アメリカン・プロセスチーズ)3,51 0トン。
97年1〜11月までの主要乳製品の輸出状況を見ると、チーズ(カードを含む) の輸出量は、国内の生産増加に伴い、前年同期比16.4%増の 3 万 5 千トンとな り、96年通年の輸出実績を既に上回っている。輸出先を国別に見ると、最大の市 場である日本向けは、若干減少しているものの、メキシコ、韓国、カナダ向けの 輸出が増加している。なお、チーズは米国の主要乳製品の中で、DEIPに基づく奨 励金なしでの輸出割合が約 9 割と最も高くなっている。
96年は、生乳生産の減少とチーズ生産の増加のため、バター、脱脂粉乳などの 乳製品の生産量が減少した。このため、米国内の乳製品需給が逼迫した結果、チ ーズを除いて輸出量は大幅に減少した。97年には、生乳生産は一転して回復し過 去最高を記録したが、バター、脱脂粉乳の輸出については大きく明暗が分かれて いる。バターの生産量は、消費量の減少を受けて引き続き落ち込んだため、輸出 に向けられる数量が減少しており、97年11月までの輸出量累計は、前年同期比27. 8%減の 1 万5千トンとなっている。一方、脱脂粉乳は、生産がかなり増加した ため、供給過剰で在庫量が膨らんでおり輸出圧力が強まっている。97年11月まで の累計では、前年同期比195.5%増の 5 万 4 千トンと大幅に増加し、95年並み の水準に回復した。 ◇図:乳製品の輸出量の推移◇
元のページに戻る