◇絵でみる需給動向◇
米農務省(USDA)は、毎年四半期ごとに実施される豚飼養動向に関する調査結 果を発表した。今回発表された98年 3 月 1 日現在の豚の総飼養頭数は、前年同 期比7.6%増の6,007万頭となった。豚飼養頭数は、95年6月以降、前年水準を下 回っていたが、97年 6 月からは、生産コストの約 7 割を占める飼料価格の低下 や、禁輸となった台湾産豚肉の代替需要見込みなどを背景に生産者の増頭意欲が 増したことなどにより、前年水準を上回って推移している。 飼養頭数の内訳を見ると、肥育豚頭数は前年同期比8.3%増の5,308万頭、繁殖 豚頭数は前年同期比2.1%増の699万頭となっており、いずれも前年水準を上回っ ている。 ◇図:豚飼養頭数の推移◇
州別の飼養頭数を見ると、全米最大の生産州は1,410万頭を飼養するアイオワ州 で、次にノースカロライナ、ミネソタ、イリノイ、インディアナ、の各州が続い ており、いずれも前年水準を上回る結果となった。また、これら上位5州の順位 は前年同期と全く同じだが、5州の合計飼養頭数が全体に占める割合は、前年同 期に比べ1.2ポイント上昇し63.2%となった。 その他の州のうち今回目覚しい増加を示したのはオクラホマ州で、飼養頭数は 177万頭に過ぎないが、前年同期に比べて29.1%の大幅な増加となった。同州は、 比較的人口密度が低く乾燥した地域であることから、近年急速に豚生産が拡大し ており、91〜97年の間に豚飼養頭数が約 7 倍に増加したとされている。 上位5州の豚飼養頭数( 3 月 1 日現在) 資料:USDA「Hogs and Pigs」 注:肥育用、繁殖用いずれも雌雄を含む しかしながら、米国各州において環境規制を強化する動きが顕著になってきて おり、拡大が著しい新興生産州のノースカロライナ州やオクラホマ州についても、 97年には、豚生産の新規参入や規模拡大を制限する条例が制定された。そのため、 今後の飼養動向に環境規制の影響が出てくるものと思われる。
USDAでは、将来の飼養動向の指標となる分娩予定頭数について、98年3〜5月 期は前年同期比3.2%増、 6 〜 8 月期では前年同期比1.3%増になると予測して おり、ひき続き増頭傾向は続くものの次第に減速傾向に向かうものと見込まれて いる。 また、一部の業界関係者によると、98年に入り100ポンド当たり30ドル台半ばま で大幅に下落した肥育豚価格について、98年は平均で37ドル/100ポンドに、99年 は43ドル/100ポンド程度になるとし、99年第 1 四半期頃までは豚飼養頭数の増 加傾向が続くものと予想している。
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