米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○高水準の牛肉生産の影響で、低迷が続く肥育牛価格


7月の肥育牛価格、50ドル台へ低下

 7月の肥育牛価格(ネブラスカ州の相対取引価格、去勢、1,100〜1,300ポンド)
は、前年同月比7.4%安の59.97ドル/100ポンドとなった。 8 月に入っても回復
の兆しは見られず、60ドル/100ポンドを挟んでの取引が続いている(左図参照)。
と畜頭数は減少傾向にあるものの、平均枝肉重量が増加したため、依然高水準の
牛肉生産が続いており、この影響で肥育牛価格は、97年8月以降前年を下回って
推移している。しかし、米農務省(USDA)では、98年末から数年間に渡って牛肉
生産が減少すると見られることから、低迷している肥育牛価格も、この夏に底を
打ち、98年第4四半期には60ドル台半ばまで回復、99年には70ドル台前半から半
ばまで上昇すると見ている。


肥育素牛価格も70ドル台前半に低下

 一方、肥育素牛価格も低下している。7月の肥育素牛価格(オクラホマシティ
ーの市場価格、去勢、600〜650ポンド)は、前年同月比18.4%安の72.96ドル/100
ポンドとなり、98年の最高値である4月と比較すると13ドル24セント安と大幅に
落ち込んだ。95年7月をピークにキャトルサイクルが下降局面に転じたことから、
子牛の生産頭数は95年下半期から減少している。肥育素牛価格は96年後半以降、
比較的堅調に推移してきたが、肥育牛価格の長引く低迷を受けて低下したと見ら
れている。

◇図:肥育素牛価格
(去勢牛、ミディアムNo1、オクラホマシティー、600〜650ポンド)◇


フィードロットの収益、一時回復に向かう見込み

 主要なフィードロットが集中するグレートプレーンズ(大平原地域)における
フィードロットの収益を見ると、肥育素牛高、肥育牛安の状況で、97年8月以降、
赤字経営が続いていると見られている。しかし、USDAが実施したハイプレーンズ
(北部大平原)のフィードロットの経営に関するシュミレーションによると、@
飼料穀物価格の更なる下落、A肥育素牛価格の低下、B今後の肥育牛価格の回復
により、98年10月には黒字に転じるとしている。ただし、飼料穀物価格の下落が、
肥育期間の長期化をもたらせば、と畜時体重が増加することも考えられ、高水準
の牛肉生産が維持されることとなる。結果として、肥育牛価格の回復を遅らせる
ことも想定されるなど、今後のフィードロット経営を取り巻く状況は不安定な要
素が多くなっている。

◇図:フィードロットでの損益分岐点とマージンの推移◇


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