◇絵でみる需給動向◇
近年、米国における食肉消費が頭打ちの中で、例外的にブロイラーの消費は着 実に増加を続けてきた。米農務省(USDA)によると、97年の国民1人当たりのブ ロイラー消費量(小売り重量ベース、以下同じ)は、33.0kgと前年に比べ2.8%の 増加となり、20年前と比較すると、 2 倍近くの水準にまで拡大している。
ブロイラーは、牛肉や豚肉などの他の食肉に比べ、価格的に優位にあることや 健康志向などの面で消費者ニーズをうまく捕らえたことから消費が伸び続け、92 年にはこれまで食肉消費の中でトップを占めてきた牛肉を抜いた。その後も、業 界の努力により、消費者ニーズに合致したさまざまな鶏肉製品が提供されてきた ことなどから、依然としてトップを維持している。 今後のブロイラー消費について、USDAでは、98年はほぼ前年並みに推移すると しているものの、99年については一人当たり消費量は34.5kgへと増加すると見込 んでいる。
こうした鶏肉の人気を探るべく、先ごろ米国の民間調査会社が全米約1千人を 対象に行ったアンケート結果によれば、鶏肉を選択する理由として最も多かった 回答は、「味」であった。味に続く他の理由には、「健康的」「多様性」「簡便 性」などが挙げられており、これまで一般的な要因とみられてきた「価格」につ いては7番目の結果となった。また、年齢別の回答を見てみると、回答を得た18 才以上の中では、25〜35才が最も多く鶏肉を消費していることがわかった。逆に 65才以上は他の年齢に比べて最も少なくなっている。一方、地域別で比較してみ ると、最大の消費地域は南部で、最小は北部中央地域であるとの結果が表れた。 しかしながら、回答者のほとんどは、これからも今までと同量あるいはそれ以上 の鶏肉を消費すると応えており、鶏肉に対する消費者の絶大な支持があることが うかがえる。
また、鶏肉の消費パターンの内訳をみると、20年前では小売り向けが大半を占 めていたが、ファストフードやレストランなどのフードサービス部門の発展やラ イフスタイルの変化に伴い、年々フードサービス向けが拡大し、95年にはフード サービス部門が小売り部門を上回ることとなった。その後もそうした傾向は続い ているが、特に最近の傾向としては、より付加価値の高いHMR(ホーム・ミール・ リプレイスメント)と言われる調理済製品に対する消費者のニーズが高まりつつ ある。 こうした中、一部のファストフードは、今秋から鶏肉を取り入れたメニューア イテムを増やすと発表した。関係者によると、先のアンケート結果を踏まえ、各 世代の中で最も鶏肉志向が強い若い世代を中心とした更なる消費拡大に期待を寄 せている。 ◇図:1 人当たりの食肉消費の推移◇
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