◇絵でみる需給動向◇
先頃、行政院農業委員会と台湾省政府農林庁が発表した98年5月末時点の養豚 農家戸数は、前回調査時(97年11月末)より8.4%減少して18,739戸となった。こ れは、口蹄疫発生直前の96年11月末と比較すると、26.1%もの大幅な減少となっ ている。 調査結果を飼養規模別にみると、飼養頭数99頭以下の小規模農家が 9 千 6 百 戸で全体の51.0%を占め、次いで100〜999頭の中規模農家が40.6%、1,000頭以上 の農家は8.4%を占めるにすぎない。前回の調査結果と比較するといずれの階層で も農家戸数は減少しているが、特に、飼養頭数が100〜999頭および1,000〜4,999 頭の階層での減少幅が10%以上と他を上回った。両階層は96年11月末と比較して も、減少幅がそれぞれ30.6%、36.0%と同20%前後の他の階層を上回っており、 口蹄疫発生後の肉豚の減産や環境対策の強化などの厳しい状況下で、中堅階層の 規模縮小または離農がより進んだことが推察される。 なお、 1 戸当たりの平均飼養頭数も前回調査と比較して9頭減の380頭となっ ている。
飼養頭数 100頭以上の養豚農家を対象に行われた今後の飼養規模に関する意識 調査によると、約 8 千 8 百戸のサンプル農家のうち、66%の農家が現在の飼養 規模の維持を希望する一方、規模拡大を希望する農家はわずか2%にとどまった。 また、32%の農家が規模縮小の意向を持っており、今回の調査結果は前回とほぼ 同様となった。多くの農家が現状を見極めようとする中、米国産の豚ばら肉、豚 内臓の市場開放に対する不安などから、飼養規模の縮小に踏み切ろうとする農家 が依然として多い実態が明らかとなった。
肉豚卸売市場における上場頭数の減少傾向や夏場の需要期を迎えたことから肉 豚卸売価格は 6 月下旬以降、一貫して急激な上昇を見せている。 8 月下旬の時 点ではほとんどの肉豚市場で6千元台後半〜7千元台前半(生体100kg当たり:1 元=約 4 円)で推移しており、年初の価格の 2 倍を超える高水準で取り引きさ れている。豚価は今のところ上げ止まる気配は見られず、養豚農家がさらなる豚 価高騰を見越して、出荷を手控えているとの見方もあり、今後の価格動向が注目 される。 ◇図:肉豚卸売価格の推移◇ 規模別養豚農家戸数資料:台湾省政府農林庁「台湾地区養豚頭数調査報告」 注:( )内は97年11月末との比較
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