乳業者間で差が見られる生乳生産者価格(ドイツ)


調査対象はドイツの生乳の 8 割以上をカバー

 ドイツ市場価格情報センター(ZMP)は、97年のドイツ国内における乳業者別の
生乳生産者価格(酪農家に乳業者が支払う価格。以下「生産者価格」)の調査結
果を公表した。

 この調査は、ドイツ国内の200余り(うち旧西ドイツ地域約 8 割、旧東ドイツ
地域約2割)の乳業者(会社、協同組合)を対象とし、乳業者別の生産者価格
(平均乳脂肪4.2%、たんぱく質3.4%,付加価値税を除く)を調べており、国内全
体の生乳流通量の 8 割以上をカバーしている。


最高と最低で約16%の価格差

 今回の調査結果によると、乳業者別の生産者価格は、最高と最低で約16%の価
格差がある。これは、95年の価格差(19%)と比較してやや縮小しているものの、
依然として乳業者間での価格差が大きいことを示している。なお、生産者価格は
主に、56〜60pf(ペニッヒ:46〜49円、1pfは約0.82円)の範囲内にある。また、
生産者価格の平均は、近年、低下傾向であったが、97年は1.4%上昇している。

 なお、この調査が実施されるまで、ドイツにおいて乳業者別生産者価格の公表
はされていなかった。今回の公表に当たっては、個別価格は公表せず価格帯別に
乳業者名を掲載している。これは、乳業者別の生産者価格一覧表の公表について、
当初から乳業者の関心が非常に高い反面、特に生産者価格を相対的に低く設定し
ている小規模の会社および協同組合が難色を示していたことによる。


価格差が国内の乳処理業界に影響

 このように乳業者別の生産者価格に、依然として大きな価格差の存在が明らか
になったことは、ドイツ国内の乳業者に少なからぬ影響を及ぼし始めている。こ
の結果、合理化という点で立ち遅れていた同国の乳業界で新たに乳業者の吸収・
合併の動きや、生産者価格の見直しをする動きが強まるとみられている。


旧東・西ドイツ地域間の価格差はさらに縮小

 一方、今回の調査結果を地域別に見ると、90年の統一以降、旧東・西ドイツ地
域間の価格差は急速に縮小しており、今回は、旧西ドイツが58.8pf(48円)/kg
に対して旧東ドイツで57.4pf(47円)/kgとなり価格差はさらに縮小した。


元のページに戻る