USDA、HACCPに関する報告書を公表


実施状況とその評価を報告

 米農務省(USDA)は8月上旬、98年第2四半期(4月1日〜6月30日)におけ
る危害分析重要管理点監視方式(HACCP)の実施状況に関する報告書および実施状
況評価報告書を公表した。

 USDAは、食肉・家きん肉処理加工場における食品の安全性を確保するため、96
年7月にHACCPシステムに基づく最終検査規則を制定し、第 1 段階として98年1
月以降、従業員500人以上の大規模食肉処理加工場において、HACCPの導入を義務
づけた。今後は、段階的に小規模工場においても実施に移されることとなってい
る。USDAはこうしたHACCP実施を受けて、四半期ごとにHACCPの規則や強制措置に
関する実施状況を報告することとしており、今回で 2 回目の報告書となる。


規則の遵守・適合率は93%

 公表された実施状況報告書によれば、前回はHACCPに基づく検査規則内容の遵守・
適合率が92%であったのに対し、今回は93%とわずかながら向上した。しかしな
がら一方で、USDAはHACCPを導入している約300の工場に対し、16,979件(前回16,
102件)の不適合通知を出していたことが判明した。また、いまだ伝統的な検査シ
ステムに基づいて運営されている残りの6,200の工場についても調査しており、第
2四半期にUSDAの検査官が指摘した不適合件数は、42,406件(前回43,765件)と
なっている。指摘された問題点は、ささいな表示ミスから、食品の安全性を確保
する上で重大なものまで多岐にわたる。さらに今回の報告書では、刑事および民
事訴訟案件、混ぜものや不当表示などの商品管理行動に関する情報も記載されて
おり、合計 30百万ポンド(約 1 千 4 百トン)の製品保留や462通の警告書の送
付に加え、14の個人または法人が法廷において抗弁をし、または刑事罰の宣告を
受けた旨、報告されている。


順調な進展との評価

 実施状況報告書が公表された 2 日後、USDAはこれまで実施されてきたHACCPの
実施状況に関する評価報告書を公表した。これは、これまでHACCPの実施にかかわ
ってきた食品安全検査局(FSIS)の職員267人に対するインタビューの結果を取り
まとめたものである。

 同報告書によれば、USDAは職員に対して、HACCPシステムで要求される多くの変
化に対応し、それらを的確に管理するために必要な訓練や支援などの対策を講じ
てきており、HACCPの実施は、これまでのところ効果的かつスムーズに進展してい
るとしている。

 なお、これまでに実施された主な対策は、@HACCPを既に実施している約300の
工場の検査官等に対する特別訓練の実施、A検査活動を支援するための技術サー
ビスセンターの開設、B大規模工場におけるHACCPの実施に関して、職員および業
界からの質問に回答するためのホットラインの設置、となっている。


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