タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇


○冷蔵品回復で、やや増加基調の鶏肉輸出


4月はかなりの増加、5月はやや増加

 タイブロイラー加工輸出協会がとりまとめた99年4月と5月の鶏肉の輸出量(速
報値)は、4月が2万3千トン、前年同月比で15%増とかなりの増加となったもの
の、5月は2万2千8百トンで5%増にとどまった。このうち、冷凍鶏肉は4月が18%
増の1万8千トン、5月が7%増の1万8千1百トン、鶏肉調製品は4月が4%増の5千ト
ン、5月が2%減の4千6百トンとなった。5月の鶏肉調製品は、日本向け輸出が前
年同月比11%減の2千7百トンとかなり大きく減少したことから、1月以来4カ月ぶ
りの減少となっている。


やや低調な日本向け、好調なEU向け輸出

 地域別に見ると、4月は、アジア地域では、シンガポール向けが96%増と大幅
に伸び、日本向けも6%増とかなりの程度の伸びであったことから、アジア全体
では19%増の1万7千トンとなっている。中でも、マレーシア向けは、豚に発生し
た伝染病により豚肉需要が鶏肉に移行したため、鶏肉の国内価格が高騰し、政府
が緊急輸入を実施したことから、約3倍の732トンと急増している。一方、EU向け
は冷凍鶏肉が23%増の3千8百トン、鶏肉調製品も6%増の2千トンと増加している
ことから、EU全体でも17%増と大幅な伸びとなっている。

 5月は、アジア地域では、シンガポール向けが60%増の1千2百トンとなったも
のの、日本向けが1%増の1万3千6百トンとわずかな伸びにとどまったほか、4月
に急増したマレーシア向けも17%増と伸びが鈍化したため、アジア全体では4%
増の1万6千2百トンにとどまった。一方、EU向けは、鶏肉調製品が5%減の1千9百
トンと低調であったものの、冷凍鶏肉が20%増の4千6百トンと大幅な伸びを示し
たことから、EU全体では12%増の6千5百トンとかなりの伸びとなっている。

 この結果、99年1月から5月の鶏肉の輸出量は、前年同期比4%増の10万7千トン
となり、そのうち冷凍鶏肉が2%増の8万4千トン、鶏肉調製品が10%増の2万3千
トンとなっており、3月時点で前年並みであった輸出量は、冷凍品の回復につれ
てやや増加の兆しを見せている。


卸売価格と小売価格は安定的に推移

 バンコク市場における99年4月の鶏肉(中抜き)の卸売価格(速報値)は、前
年同月比2.2%高の、1kg当たり38バーツ(約130円)と前年よりわずかに高い水
準となっている。98年9月まで上昇傾向で推移し、ピーク時には前年同月比30.8
%高の44.54バーツまで上昇したものの、それ以降下落しており、99年に入って
からは38バーツ程度と前年比2〜5%高の水準で、安定して推移している。

 一方、小売価格(速報値)も、51バーツ程度で安定的に推移しており、99年3
月も前年同月比4.7%高の1kg当たり50.57バーツ(約172円)となっている。

◇図:タイにおける鶏肉価格の推移(バンコク市場)◇

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